逆恨み犯罪を防止するために:指切断事件、ストーカー犯罪などから考える
逆恨み犯罪を防止するためには、法律や警備だけではなく、カウンセリング的対応も必要です。
■バレエ講師指切断事件
報道によれば、「練習日程を教えてもらえず、去年から恨みがあった」「練習への参加を拒否され、恨みがあった」と男性は語っています。男性は、講師を問い詰め、怒鳴ったり、金庫を叩いたりしたために、脱会させられたとも報道されています。
この脱会に際しては、教室側は弁護士を通じて、文書で退会を求めたようです。さらに警察に相談し、その時には警察もパトロールが強化されましたが、継続の相談はなかったと報道されています。
■逆恨み犯罪
今回の事件の詳細は不明です。
ただ近年、逆恨みとも思える加害者による凶悪事件が目立ちます。自分の思い通りにならないからといって相手を傷つけるストーカー犯罪なども同様でしょう。
加害者側は、恨みを語り、自分の正当性を主張しますが、法的あるいは常識的に世間がな得できなければ、「逆恨み」とされるでしょう。
今回、弁護士も立て、警察にも相談したということは、かなりのトラブルがあったことが推測できます。
■逆恨み犯罪防止のために
事件防止には、法の整備や警察のパトロール強化なども必要でしょう。しかし、限度があります。さらに逮捕されることも覚悟の上といった人を止めることは難しいでしょう。
いくら理屈で説明しても納得できないと怒っている人に対しては、断固とした態度とともに、カウンセリング的なアプローチも必要だと思います。
■カウンセリング的アプローチ
カウンセリング的アプローチとは、客観的には非のある相手に対しても、まずはその人の怒りや悔しさに共感し理解しようとする態度です。その上で納得してもらって、理不尽な行動をやめてもらう手法です(カウンセリング的アプローチを実際に行うための方法:Yahoo!ニュース個人有料)。
たとえば、商品に対して思い込みによる誤ったクレームを言ってきた客に対しても、まずは、「それはお困りでしょう」「さぞかしご心配なことでしょう」と相手の怒りや悔しや悲しみに共感する態度です。
相手の言っていることが間違っているからといって、いきなり間違いを指摘したり、組織防衛的な態度を取ってしまうと、しばしば相手の怒りの火に油を注ぐことにもなってしまいます。
企業の苦情処理係の人などは、日々そのような努力をされていることでしょう。相手が、最初から金目当ての乱暴者や詐欺師でなければ、多くの場合、無茶な要求は引き下げるそうです。
学校の先生も、怒っている生徒や、苦情を言いに来た保護者に対して、そのような態度をとって、なんとか問題を解決していることでしょう。
ストーカー対策においても、単純なケースでは断固とした態度だけで解決しても、複雑なケースの場合は、着信拒否や警察への通報だけだと帰って問題がこじれることもあります。かなり乱暴なストーカーでも、カウンセリング的なアプローチによって、気持ちがわかってもらえたと思えることで、ストーカー行為をやめる人もいます。
カウンセリング的対応が万能なのではありません。また今回のケースでも、おそらく苦悩しながら様々な努力を重ねたことでしょう。誰かを責めるつもりは全くありません。ただそれでも。トラブル回避のためには、気持ちをわかってもらうことを必要としている人も大勢いるのが、私たちの現代社会なのだと思います。