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コメディー動画で小学生に絶大な人気。YouTuber「バンカラジオ」が語る現実と自らの軸

中西正男芸能記者
「バンカラジオ」のきいたさん(左)とやねすけさん

「天才小学生」と「最恐の母」のやりとりを描いたコメディー動画で数百万以上の再生回数を連発するYouTuber「バンカラジオ」。早稲田大学在学中にやねすけさん(24)、きいたさん(24)が結成し、小学生を中心に絶大な知名度と人気を誇ります。浮き沈みの激しい世界で結果を残し続けるための自らの軸とは。

YouTuberのリアル

やねすけ:もともと僕たちは同じ予備校に通ってまして、幸い志望校である早稲田大学に二人とも合格できました。

彼は国際系の学部に通っていて世界一周しながらそれをYouTubeにアップしていくという思いがあったんです。動画編集のサークルにいた僕に「一緒にやってもらえないか」と打診されたのが始まりでした。

そこから世界一周の動画にとどまらず、いろいろな企画をやるようになっていったのが今の活動に至る流れだったんです。

きいた:そんな中、大学を卒業してから就職をするのか、YouTubeを続けるのか。選択を迫られる時期が来るんですけど、YouTubeをやるならきちんと軌道に乗せないといけない。親も心配するだろうし。

だったら、プライドも何も関係ない。あらゆるパターンの動画を作り、とにかく反応が大きな動画は何なのかを模索しました。その結果、たどり着いたのが小学生向けのコメディー動画という今のスタイルだったんです。

ありがたい話、いつも動画に出ているキャラクターの姿で公園で撮影してると、親子連れの方々が集まってきて即席写真撮影会みたいになることも多いです。

あと、これは何ともですけど、僕の家をスタジオにしているので小学生がピンポンダッシュをしていったり(笑)。知ってもらうことはありがたいことですけど、そういうこともあったりしますね。

やねすけ:自分たちの動画を認知してくれて、こちらに興味を持ってくれるのは本当にありがたいことだと思っています。

きいた:その一方で、どんなクリエイターでも、何かしらの事務所に所属していたとしても、不安が途切れることがないのがこの仕事だとも感じています。

まさに水物というか、この先がどうなるか本当に分からない。再生回数が落ちれば、どうしようもないし、全ては自分に返ってくる。そこの厳しさとは常に向き合わないといけない仕事だと痛感しています。

それが事実でもあるんですけど、それをどんどんネガティブな方向に考えていくと歯止めがきかなくなる。それもあるので、事実は認識しつつも、適度にそこに目を向けないでおく。そういったメンタルの技術も重要な仕事だと感じています。

あと、YouTubeには絶対的に“流行り”の部分はあるので、そこは把握しておかないといけない。「自分たちは絶対にこうなんだ」ということに固執しすぎると、そこにズレが生じてくるだろうなと。

簡単なことではないですけど、柔軟に試行錯誤をしていく。それを続けていると、メンタル的に落ち込んでいるヒマもないですし(笑)、実際に数字的にもそこまで落ち込むことはないとは思うんですよね。

ただ、柔軟にとはいえ、自分たちの核の部分というか「軸はこれなんだ」というところは持っていないとダメだとも強く思います。

絶対にブレない軸があるからこそ、穂先は柔軟にできる。これももちろん簡単なことではないんですけど、日々いろいろな新たな動画も出てくる中で、軸を持っておくことが心を疲弊させずに過ごすコツだとも考えています。

小説家と言っても作品の内容や仕事のやり方など千差万別なように、YouTuberにもいろいろな種類の人がいます。

テレビ番組のような企画を考えて実証するとか、誰かに密着して話を聞くとか、それぞれの内容ごとにそれぞれの軸がある。それが事実だとも思います。

僕らで言うとやっていることはコメディーなので、人が思いつかないような脚本を書く。それを演技の力で実行する。そして、撮影したものを一番面白い形で編集する。その一つ一つが他の動画よりも秀でていると信じていますし、その一つ一つが僕らにとっての軸だと考えています。

やねすけ:そして、それの判断基準として再生回数というものがありますからね。テレビの視聴率みたいにその中にいる人じゃないと見られない数字ではなく、動画に数字が明記されていますから、誰でもその動画の現状を見ることができる。完全にガラス張りですからね。

だからこそ、キャリア関係なく面白いものを出せばいきなり上にも行ける。逆に数字が落ちれば、評価も低くなる。数字がダイレクトに見えるからこそスターが生まれやすいのもありますけど、もちろん怖い部分でもあります。

芸人との違い

やねすけ:コメディー動画を作っているので、芸人さんと何が違うのか。そのポイントは総合力だと思っています。

最終的には動画の形でお見せするので、台本を考える。演じる。撮影する。編集する。この全ての総合力みたいなところを問われるのが僕らがやっていることなのかなと。

きいた:かつては小説も、映画も、あまり高尚なものではないと言われていた時代もありましたけど、今は文化として確立されている。

それでいうと、今はYouTubeの過渡期だと思っているんです。日本の YouTube史の中でコメディーというものを作り上げたパイオニアと今後言ってもらえるような存在になれたらなとは思っています。

ただ、今後の話で言うと、なかなか先が見えない仕事というのも事実あるだろうなと考えています。長く考えて5年くらい先しか見通せないというか。

それくらいいろいろと変化している世界ですし、10年後にはまた違うプラットフォームで今のYouTubeみたいなものができているかもしれませんしね。

ただ、願わくばこのコンビでやっていたい。基本として二人でやっているのが楽しいので続けているので、そんなワクワク感をこれからも味わえたらなと思っています。

(撮影・中西正男)

■バンカラジオ

1998年1月17日生まれで千葉県出身のきいたと97年11月17日生まれで神奈川県出身のやねすけのユニット。早稲田大学在学中から活動を始め、現在YouTubeチャンネル登録者数59万人。TikTokフォロワー数34万人。昨秋から太田プロダクションに所属している。7月18日には初のイベント「バンカラ夏祭り最高で最恐であちゃぱ〜な物語」を東京・渋谷ストリームホールで開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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