なぜマドリーはエムバペが適応してきたのか?ヴィニシウスとの連携…欧州屈指のアタッカー陣。
勘所を押さえているチームだ。
チャンピオンズリーグ・グループステージ第3節、レアル・マドリーはボルシア・ドルトムントと対戦した。2点をリードされる苦しい展開だったが、後半に攻撃陣が爆発して5−2でドイツの雄を粉砕している。
■エムバペの適応
今季のマドリーにおいて、注目されたのは、やはりキリアン・エムバペの加入だ。この数年、マーケットが開くたびに、エムバペのマドリー移籍の噂が立ち上っていた。だがパリ・サンジェルマンとの契約が切れることになっていた2022年夏でさえ、移籍成立の「号砲」は鳴らなかった。
フロレンティーノ・ペレス会長の逆鱗に触れ、一時、両者の関係は悪化した。しかしながら最終的にはパリとの契約満了を迎えた2024年夏に、減俸を受け入れる格好で、エムバペのマドリー移籍が決まった。
エムバペは、中々、マドリーにフィットせず、苦しんだ。
リーガエスパニョーラで最初のゴールが生まれたのは第4節ベティス戦だった。「3試合でノーゴールというのは、多くの選手にとって、そうでもないかも知れない。でも、僕にとっては大きな意味がある」とはベティス戦後のエムバペのコメントだ。
「だけど僕はバカではない。僕みたいな選手が移籍したら、そのチームは多くのことを変えなければいけないと思う。それを分かっている。でも、最初の試合から自分たちは以前より良いチームであることを示してきた」
エムバペは今季、ここまで公式戦13試合で8ゴールをマークしている。
■ヴィニシウスとの関係
またエムバペの加入に際して、関心を集めたのがヴィニシウス・ジュニオールとの関係だ。
ヴィニシウスは、かつて、カリム・ベンゼマとの関係構築に苦しんだ。2020−21シーズンには、チャンピオンズリーグのボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦で「ヴィニシウスにパスを出すな」とベンゼマがフェルラン・メンディに話しているところがカメラに抜かれた。
「ドリブル一辺倒」になっているヴィニシウスに、ベンゼマは不満を抱いていた。その後、カルロ・アンチェロッティ監督の就任があり、ヴィニシウスのプレースタイルは少しずつ改善された。21−22シーズンには、ともにビッグイヤーを獲得している。
無論、現在のヴィニシウスとあの頃のヴィニシウスは違う。エムバペも入団会見の際に「偉大な選手たちというのは一緒にプレーするために生まれてきた。僕は問題なくヴィニシウスとプレーできると思う」と自信をのぞかせていた。
ただ、問題は戦術的なところにあった。
ヴィニシウス は左ウィングを本職としている。昨季は【4−4−2】で2トップの一角に入ったが、左に流れることが多かった。左サイドがメインのプレーエリアだ。
しかしそのサイドはエムバペが使いたいエリアでもある。パリSGで一時、ネイマールとの不和が囁かれたのは、同様にプレーエリアが左で被っていたことに、ひとつの要因があった。
アンチェロッティ監督は、試合中のポジションチェンジを許すことで2人の特徴を生かそうとした。むしろ、ポジションチェンジを推奨しているところがある。
「エムバペとヴィニシウスは良いコンビネーションを見せている。それが私の見解だ。ゴールを決めるかどうかは、些細な問題だ。もちろん、FWにとって大事なことだとは思うがね」
「彼らは、もっと良いプレーができるだろう。よりスピーディに、モビリティをもってプレーできる。だが攻撃面のタスクは問題ではない。これまでの試合でゴールは奪えているし、それは良くなっていく」
これはアンチェロッティ監督の言葉だ。
ヴィニシウス は今季、ここまで14試合に出場して8ゴール5アシストを記録している。「ゴールに絡む」率は92%だ。
エムバペの適応は終わりに近づいているように見える。ヴィニシウス との関係も良好だ。
現地時間27日には、バルセロナとのクラシコが控えている。マドリディスタに本当の意味で認められるには、クラシコでの活躍が欠かせないのは言うまでもない。