ブラックマンデーに匹敵する外国人投資家の「日本売り」、その背景には?
ブラックマンデー以来の日本売り?
東京証券取引所が発表した投資主体別売買動向によると、3月10日から14日の外国人投資家の売り越し額が9700億円に達したそうだ。これだけのまとまった売り越し額は、1987年のブラックマンデー時の1兆1220億円(87年10月19日~24日)に次ぐもので、26年ぶりの大幅売り越しとなった。近隣で戦争の危機があった欧州市場を上回る下落幅となり、相変わらず日本株のボラティリティ(変動幅)の大きさが際立った。
しかし、ここまで大きな下落を単純にヘッジファンドやアルゴリズムのせいだけにするのは無理があるような気がしてならない。くしくも、3月第2週といえば11日の東日本大震災から3年が経過した日がある。日本のテレビや新聞は各局とも追悼番組を流したのだが、海外のメディアは別のスタイルの報道をしている。
たとえば「ドイツDZF」は、福島第一原発の事故から3年が経過したことから現地の詳細をレポートしている。リスクを冒しながらも福島原発から発する放射能汚染の状況を報告しており、その動画はユーチューブでもアップされている。
ドイツDZF「フクシマの嘘 其の二(隠ぺい・詭弁・脅迫)
https://www.youtube.com/watch?v=8wCehe0iaKc
おなじく「フランスFR3」では、パリで販売されている太平洋産のタラから、フクシマ原発のものと思われるセシウムが発見されているとレポートし、やはり現地に入っている。レポーターが車のトランクに隠れて入っていくなど身の危険を冒してレポートした番組だ。これも日本語字幕入りでユーチューブにアップされている。
フランスFR3「フクシマ地球規模の汚染へ」
https://www.youtube.com/watch?v=ZNYvKm04fXg
日本の大手メディア、とりわけテレビでは報道されていない内容も多く、ぴんと来ない人が多いかもしれない。しかし、今回の日本の株式市場の下落がヘッジファンドといったリスクマネーのような短期売買による投資家だけのものなのか、それともこうしたレポートを見た外国人投資家が日本売りを加速させたのか。長期の投資家は売っていない、と日本経済新聞は報道しているが、アベノミクスへの失望のひとつに「フクシマ」への対応の遅れがあることは否定できない。
今回の外国人投資家の日本売りが一時的なものなのか、それともフクシマの問題に対して、東京電力を国有化するなど日本政府による本格的な救済事業が始まらない限り続くのか。外国人投資家の動向を注視する必要がある。