日立の技術で新五輪エンブレムの類似画像を自動検索できないか
10月1日より特許庁(正確には独立行政法人の工業所有権情報・研修館)により、画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)というサービスが開始されました(経産省プレスリリース)。Googleのイメージ検索のリバースサーチのように、画像をアップロードすると類似の意匠登録を検索してくれます。
たとえば、アップルの「ゲームセンター」アプリのアイコンを指定して類似意匠を検索すると以下の画面例のように類似画像がヒットします。あまり類似していないものも表示されますが、今までは物品ごとに全件チェックしなければならなかったのでかなり楽になりました。なお、形優先、色優先等パラメーターを指定したり、物品で絞ることも可能です。
あくまでも画面表示系の意匠用に最適化されているので、一般的な製図図面のような意匠には使えません(検索はできますが、似ても似つかない画像がヒットしてしまいます)。
ところで、日本では(米国等と異なり)、プログラムの表示画面を意匠登録することはできません(意匠は物品の形状等と定義されており、プログラムは物品ではないため)。しかし、物品に一体化した画面デザインやアイコン等であれば意匠登録できます(上記のアップルのアイコンは携帯情報端末を物品として登録されています)。
なお、当然ですが、検索対象は意匠なので図形商標登録の検索はできません(図形商標登録は以前書いたようにウィーン図形分類で検索できますので目視でもなんとかなります)。
別記事によると、このサービスには日立製作所のイメージマッチング技術が使われているそうです。意匠登録だけではなく、広くネット上の類似画像検索に使えないのでしょうか?
既存のGoogleイメージ検索における類似画像検索(および、他の類似画像検索)は写真やイラスト系の画像には有効ですが、ロゴやマークデザイン系の画像にはあまり有効ではありません。ちょっと前にやっていたテレ東のワールドビジネスサテライトでは、番組ロゴマークの類似マークを検索したところHP社のロゴが類似として表示されて「これって似てるんですかねえ..」なんて雰囲気になっていました。
この日立の技術を応用すれば新五輪エンブレム候補作品をはじめとするロゴやマークのネット上での類似画像の発見にも貢献できると思うのですが、そのためには世界中のイメージ画像をキャッシュまたはインデックスした画像検索の仕組みが必要です。そうなると、結局、GoogleかBingの(あるいは、BAIDUやNAVERの)検索エンジンに日立の技術を統合しなければならないので、1社だけでどうこうできるという話ではないと思われます。