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フリーランス休業支援金のスーパーお役所仕事に驚愕!本当に支援するつもりありますか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:厚生労働省

KNNポール神田です。

2020年3月18日(水)フリーランスに対し1日あたり4,100円の給付の申請が始まった。正規・非正規8330円の事業者向けの申請も開始された…。しかしだ…申請書類を見ればみるほど、スーパーお役所仕事の仕事ぶりをまざまざと見せつけられることとなった…。

出典:厚生労働省
出典:厚生労働省

□ 厚生労働省では、今般の新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえなくなった保護者の皆さんを支援するため、正規雇用・非正規雇用を問わない助成金制度(以下「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」という。)を創設するとともに、個人で業務委託契約等で仕事をされている方向けの新たな支援金制度(以下「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等支援金」という。)を創設することとしています。

□本日(2020年3月18日水)から、この助成金及び支援金の申請受付を開始いたしましたので、お知らせいたします。

<申請期間>

(2020年)3月18日~6月30日

<申請書の提出先>

 学校等休業助成金・支援金受付センター(厚生労働省の委託事業者)へ、(配達記録が残るもの)で郵送

関東地区 (〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-2 6階662執務室)

<問い合わせ先>

 学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター

 電話:0120-60-3999 受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む)

出典:新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の申請受付を開始します

□フリーランス向けの案内 『支援金』

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

□事業会社向けの案内 『助成金』

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

■ひと、くらし、みらいのためにの厚生労働省のウェブサイトのどこにあるのか?

出典:厚生労働省
出典:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/

多岐に渡る情報を案内をする厚生労働省のウェブサイトだが、今回の支援金や助成金のページを探すのはとても大変だ。しかも内容は、その度ごとに、PDFの書類を開いてみるまで中身がわからない。

■フリーランスはこちら!

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)リーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000609251.pdf

□令和2年2月27日〜3月31日の間において就業できかった日について、1日あたり4,100円(定額)の支援。

□支給対象期間 令和2年2月27日から令和2年3月31日ま での間のうち、臨時休業措置が講じられた期間

□申請期間 2020年令和2年6月30日まで

□支援対象 1.保護者 2.こどの世話をおこなった 3.(フリーランスとして)業務委託契約を締結している 4.業務委託契約に予定されていた日時に業務ができなくなった。

※ 収入の減少等により、当面の生活費が必要な方は、社会福祉協議会が実施する「生活福祉資金貸付 制度」の特例

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html

生活福祉資金貸付条件等一覧

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html

■小学校休業等対応支援金(委託を 受けて個人で仕事をする方向け)支給要領

この不親切きわまりない要項はいったい何なんだろう?『学校等 休業助成金・支援金受付センター』って何だ?

申請方法

1.支給申請期間内に別添様式 第1号「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委 託を受けて個人で仕事をする方向け)支給申請書」記入及び押印等の上、『学校等 休業助成金・支援金受付センター』に『特定記録』等で郵送。

2.『申請書』に下記の『証拠書類』を添付する

ア.保護者であることを証明する書類 『住民票の原本1通』や『戸籍謄本等の子どもとの続柄が分か る公的機関が発行した書類』

イ.臨時休業措置の講じられた日等を証する書類 『小学校からの休業のお知らせ等の写し』期間がわかるもの1通。

・発注者と締結した『業務委託契約』等を証する書類 『業務委託契約』等に基づく仕事を取りやめた日が 確認できるもの写し1通。

・臨時休業措置の期間に係る『別添様式第3号「新型コロナウイル ス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕 事をする方向け)業務委託契約等契約申立書」』の原本1通

・過去2ヶ月間に発注者と締結した『業務委託契約書』又は発注者・ 支援対象者双方の契約内容が分かる電子メール等(契約締結日、 発注者名(会社名)、発注者連絡先、支援対象者名、業務内容、業 務遂行場所、業務遂行日時及び報酬額の算出方法)であって、臨 時休業措置の期間に発注者との業務委託契約等に基づく仕事を取 りやめた日が推定できるものに限る。)の写し1通。

・振込口座を確認する書類 通帳又はキャッシュカード(申請者氏名、銀行名(支店名)、口座番号が分かるものに限る)の写し1通。

・その他 『厚生労働省雇用環境・均等局総務課』が 必要と認める書類。

これだけでも、相当、大変で面倒なことは十分理解できるだろう…。

さらにここから不可解なアクションが必要となるのだ。

謎の団体の『学校等 休業助成金・支援金受付センター』は、申請者から申請書及び証拠書類を受領した場合、申請書の「受付欄」に受付印を押 印の上、総務課が別に定める「新型コロナウイルス感染症による小学校 休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)申請者一覧」を作成し、総務課が指定する場所に、申請者一覧を電子メールにて送信するとと もに、受付印が押印された申請書及び証拠書類を郵送する。

なんと、この『学校等 休業助成金・支援金受付センター』から、さらに電子メールを厚生労働省の指定の場所に送ったり、押印した申請書も郵送するのだ。

不支給要件として、風俗営業等関係者もある。たとえば、シングルマザーで風俗業のお母さんは排除されることになる…。

■申請書に発注者(クライアント)の印鑑まで必要?

出典:厚生労働省
出典:厚生労働省

1日あたり、4,100円もらうための『申請書』に、発注者住所、発注者名、発注者連絡先そして印鑑などが必要だ。

しかも罰則規定まで明記されている。

なお、本申し立てに偽りその他不正の行為(詐欺、脅迫、贈賄等刑法(明 治 40 年法律第 45 号)各本条に触れる行為のほか、刑法上犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意に支給申請書に虚偽の記載を行い又は偽りの 証明)を行った場合は、当該不正な受給を行った日の翌日から納付の日ま で、年5分の割合で算定した延滞金及び当該返還を求めた額の2割に相当す る額の合計額を支払うものとします。

こんな文書に「はい、いいですよ!」で判子を簡単に発注者(クライアント)が押してくれるとは、とうてい思えない。会社の法務担当がリスクを考え、事実確認を担当者と共にフリーランス側に確認してくることは目に見えている。そこのやりとりの時間コストはどうなるのだろう。お役所はそれでも仕事になるが、民間企業にとっては、不毛の時間である。

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000609600.pdf

この別添様式 1号、2号 3号 4号 5号 6号 を『1日あたり4,100円』 を『支援する』ためにやりとりを行うのだ。むしろ、このやりとりを行うコストのほうが、『4,100円 』以上かかることは目に見えている。

そして、今から、発注者にお願いして、書類をそろえて押印してもらい、6月末までに申し込んで、無事銀行に『支援金』が振り込まれるまでにどれくらいの日数がかかるのだろうか?

正規・非正規側は事業者が行うのでそれを仕事として、働けるだろうが、フリーランスはこの作業に関してかかる時間コストのことは、まったく一切、考慮されていない事に疑問をいだかざるを得ない…。

これでは誰も、申請することって難しいのではないだろうか?

むしろ、これらのやりとりはすべて、個人マイナンバーと法人マイナンバーで申請マッチングを行うというくらいのテクノロジーを駆使してほしい。なんのためのマイナンバーなんだ?学校にもマイナンバーをなぜ振らないんだ?それらをブロックチェーンで紐付けるなどのアイデアはなかったのか?

そしてまた、契約書ベースもクラウドで厚労省が管理するくらいで契約書に貼る印紙分くらいはサービスしてもらいたいものだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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