房総半島のローカル線、久留里線末端区間(久留里~上総亀山間9.6キロ)廃止へ
JR東日本は11月27日、千葉県を走るローカル線・久留里線の一部区間(久留里~上総亀山間)について、鉄道からバス等の交通機関へ転換する方針を発表した。
同区間については、利用者数の減少から長年赤字が続いており、昨年より沿線地域の現状に適した交通体系について話し合う「沿線地域交通検討会議」が設置されていた。同会議は今年10月、「鉄道輸送は現状に適しておらず、自動車交通に移行することでより利便性の高い地域公共交通が実現する」との検討結果を示し、これを受けて同区間の鉄道廃止が決定した。災害によるものや、新幹線の開通によるもの、国鉄時代に廃止が決定していたものを除けば、JR東日本では初の路線廃止となる。
久留里線は内房線の木更津駅を起点に、内陸の城下町・久留里を経て、上総亀山駅に至るローカル線で、昭和11(1936)年3月25日に全通した。久留里から先、上総中野まで伸びて木原線(現:いすみ鉄道)と繋がる計画があったものの、実現には至らなかった。木原線の線名は木更津と大原を結ぶのを目指したことに由来する。
内陸部では比較的大きな町である久留里までは通勤・通学需要があるものの、その先は終点の上総亀山まで沿線に町らしい町もなく、したがって利用者数も極めて少ない。過疎化と車社会の進展がそれに追い打ちをかけ、この数十年で利用者数が著しく減少した。
久留里~上総亀山間の平均通過人員は、昭和62(1987)年度時点で823人/日とこの時点で国鉄の廃止基準を大幅に下回っていたものの、平成・令和で更に減少し、令和5(2023)年度はわずか64人/日だった。営業係数ではJR東日本でワーストで、100円を稼ぐのに1万3580円かかるという有様だ。
終点の上総亀山駅周辺にはアウトドア客に人気の亀山湖があるものの、久留里線と並行する形で高速バス「カピーナ」号(千葉~久留里~上総亀山~安房鴨川)が9往復走っており、千葉駅に直結することを考えれば、バスの方が利便性は高いだろう。久留里線は8.5往復(下り8本、上り7本)で、行楽シーズンには臨時列車の運転や列車の増結が行われるものの、普段の利用の少なさを補えるほどではないようだ。行楽シーズンに乗客が増えても、フリーきっぷでの利用が多いので、久留里線自体の増収には繋がらないという事情もあるのかもしれない。
現時点では鉄道の廃止が決まっただけであり、廃止後の交通機関についてはこれから議論が行われる久留里線。具体的な廃止時期などはまだ示されていないが、今後、続いて廃止となる路線があるかどうかも気になるところだ。
廃止報道を受けてお名残り乗車が増えるものと思われるが、くれぐれも立入禁止場所での撮影や列車の運行を阻害する行為は慎み、マナーを守った上で、路線との別れを惜しんでほしい。
関連記事
豪雨被害で不通の津軽線(蟹田~三厩間)、令和9(2027)年春廃止へ