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渡部建復帰、そして再生。最大のカギとは

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

 今年6月、週刊文春の報道でスキャンダルが明るみになり、活動を自粛している「アンジャッシュ」の渡部建さん。大みそか放送の日本テレビ系「絶対に笑ってはいけない」シリーズの収録に参加したとの報道がありました。

 渡部さんの仕事復帰に関して、芸人仲間の皆さんやテレビ局関係者らと話す中で、いろいろなことを耳にしてもきました。

 YouTubeでの活動を視野に入れている。コンビでネタをするところからの再出発になる。そして、もちろん、テレビでの復帰というプランも考えられる。ただ、そこにはかなりの逆風が吹いていると聞いていました。

 先日、このニュースが出た時に、ヤフーのオーサーコメント(専門家コメント)として綴らせてもらいましたが、今、テレビ番組が“一番見てほしい層”は10代から40代までの女性だと聞きます。

 いわば、お店として、そういう“お客さん”に来てもらいたい中で、渡部さんという“料理”はターゲットとする層に合わない。オシャレなカフェでコブクロのたたきを出すくらい、お客さんが求めているものと合致しない。

 合わないのみならず、いわば、渡部さんは好き嫌いがものすごく分かれる食材でもあるため、そのニオイだけでお客さんが店から出て行きかねない。

 ただ、そんなことは熟知しているテレビのプロたちが出演オファーを出したとするならば、今の渡部建さんにもそれだけの魅力がある証ではあります。

 ただ、ただ、ただ、それでも、事実として渡部さんへの風当たりは強いです。それはいろいろなところで、いろいろな形で顕在化してもいます。

 まず、今回の「笑ってはいけない」出演に関する話を各方面に尋ねてみましたが、どこもとても口が重い。

 口が重いということは、それだけナーバスな案件である証でもあり、情報管理が求められる物騒な案件でもあるということ。

 そして、大きなポイントは、騒動後、まだ会見をしていないといことです。スキャンダルが出た後、スクープをした当事者である文春の取材には応じたものの、ある種のみそぎともされる記者会見は行っていません。

 「奥さんが、もうおさまったなら、もうそれでいいじゃないか」などの声もありますが、今のご時世、会見をやらないと収まりがつかないのも事実です。

 ただ、会見というのは、火消しになるどころか、さらなる火種が生まれる場になることもあります。

 会見をやったことによって、会見では出なかった別の女性問題などが出てくることもありますし、そのタネがあるうちは、もしくは、タネの処理ができていないうちは、会見を開くべきではないという話も、正味のところ、あります。

 もう一つ、大きなポイントは、渡部建さんという人自身のことです。

 後出しじゃんけんみたいにもなりますが、芸人仲間からすると「やっぱり」とまではいかなくとも「さもありなん」という声を方々から聞ききました。

 一緒に仕事をしたタレントさんからの評判も良いし、画面上での好感度も非常に高い。

 ただ、相方の児嶋一哉さんとのやり取りを知っている同年代の芸人さんらからすると「かなりシビアな考え」「相方への当たりがキツイ」という声も複数聞きました。

 お笑いコンビで、頻繁につるんでいて「いつも仲良し!」なんてコンビはほとんどいません。互いにビジネスパートナーとしての意義は感じつつも、適度な距離を置く。それがコンビの関係性の最大公約数だと認識しています。

 その中でも細かいコンビの在り方は、それこそ“十組十色”。それはコンビを組んでいる芸人さんならば、これでもかと分かっていることです。ヨソはヨソ、ウチはウチ。

 そういう大前提がありながらも、渡部さんの児嶋さんへのあたりが「キツイ」と感じる。そこには何かしらのキモがあるはずですし、広く好感度が高い渡部さんでしたが、そこにある種の“ムラ”があったとも見えます。

 「相方への態度が、その人の本質を表す」

 細かい表現は違えど、そういう骨子の話をいろいろな芸人さんから聞いてきました。

 渡部さんの騒動があった一方、児嶋さんの評判はこの数カ月でまさにうなぎのぼりでした。それは、もともとあった児嶋さんの能力が発揮されたということに外ならないのでしょうが、児嶋さんが頑張ることによって、渡部さんにも大きな恩恵があります。

 それはコンビには「どちらかがつまづいても、もう一方が頑張れば、コンビの屋号は廃れない」という鉄則があるからです。

 自分が起こしたトラブルで凄まじい逆風が吹いたが、相方が孤軍奮闘して「アンジャッシュ」の看板を守っている。

 その姿を見て、改めて、渡部さんが「アンジャッシュ」について、そして、児島さんについて今一度見つめ直す。無論、簡単なことではありませんが、今回のことを、何とか前向きなクスリに変えて、飲み下す。

 そこにこそ、渡部さん再生の最大のカギがある。そう思えてなりません。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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