エルニーニョ=冷夏?もうちょっと天気に謙虚になりませんか?
10日、気象庁から「夏にはエルニーニョ現象が発生する可能性が高い」という発表がありました。
すでに「エルニーニョで冷夏」という記事も多く見ますが、天候がそんな単純なら長期予報はもっと当たっているはずです。
エルニーニョでも冷夏とは限らない
たしかに、エルニーニョ現象が発生すると、世界各地の大気の流れが変わり、日本にも何かしらの影響が出ることが多いです。
ただ、過去にエルニーニョ現象が起こった年の夏を見ると、冷夏がやや目立つものの、「どちらかと言うと」というレベルです。
例えて言うなら、サッカーW杯のグループリーグで、どのチームが突破するか予想する際に、過去の大会で多く突破しているということだけを根拠に予想しているようなものです。大事なのは、今回はどうかということのはずです。
冷夏になった年も、北日本だけで、その他の地方は猛暑だったということもあり、複雑です。
単純化が作り出す「空気」
もちろん、今年が冷夏になる可能性もありますが、現時点の予報はまだ幅を持って見る必要がある情報です。それなのに、いつの間にか「冷夏」という「空気」が先にできあがっていくことに、ちょっとした怖さを感じます。
エルニーニョを伝える記事などを見ると、「エルニーニョで冷夏」といった文字が目立ちます。限られたスペース・時間などで分かりやすさを重視した結果でしょうから、やむを得ない部分もあると思います。
ただ、そこまで単純化できる現象ではありません。
なぜ先のことほど断定的に?
もう一つ気になるのが、先の予想ほど、断定的な表現が増えることです。数か月先の天候、数十年先の気候…。
普通、逆ですよね。先に行くほど、よく分からなくなるわけで、謙虚な表現にならざるを得ないはずなのに。結果がすぐに出ないという安心感が、思い切りを良くしているのでしょうか。
と、ここまで書きましたが、あとは情報を受け取るみなさんがどう考えるかですね。
個人的には、偏食なく色々と食べるのが良いように、天気の情報も色々と食べるのが良いと思っています。
夏の予報を、どう読んで使えばいいのかは、『3か月予報発表 「今年は冷夏」で決まりですか?』に書いています。