3か月予報発表 「今年は冷夏」で決まりですか?
夏の3か月予報が、気象庁から発表されました。北日本では「気温が平年より低い」確率が高めの予報で、「北日本は冷夏」という“空気”がおそらく強まるでしょう。
ただ、先の天候を、そんなに単純化してよいのでしょうか?
平年より低い気温になる確率は「40%」
「今年は冷夏なんですよね?」と、すでに決まっているかのような質問をよく受けます。エルニーニョが発生する可能性が高まって以降、そういった空気が濃くなりました。
23日発表の3か月予報では、この夏の気温は北日本の場合、
平年より高い…20%
平年並み…40%
平年より低い…40%
です。
たしかに、平年より低い気温(冷夏)になる確率は高めですが、平年並(夏らしい夏)か平年より高い(猛暑)になる可能性も、60%あるわけです。
関東など東日本は、高い30%:並40%:低い30%。近畿~九州の西日本は、高い40%:並40%:低い20%です。
予報の幅は意味がない?
予報にそんなに幅があるんだったら、「意味がない」という声もあるでしょう。
ただ、残念ながら2か月、3か月先の天候をズバリと予報できるほど、予報技術は世界のどこを見渡しても発展していませんし、そもそも、そのような使われ方を想定していません。
上に書いたような確率に応じて、行動をとってもらうための予報です。
たとえば、冷夏の傾向があるなら、低温に強い品種の農作物を選ぶとか、冷夏の時に売れるものを準備し始める、などです。当然、一か八かで「冷夏」の品種や製品に全て変更するのはリスクが高いですから、確率に応じた分だけ変更することになります。
実際はもっと専門的に活用されますが、「確率」と「幅」で十分に効果が出るようになっています。
分かりやすさの落とし穴
時間やスペースが限られたメディアで伝える場合は、どうしてもシンプルに、分かりやすさを前面に出さざるを得ない場合があります。
ただ、単純化された答えを、「もう決まった答え」とし、「空気」になっていくのは、科学が敗北する一つのパターンです。
やはり、様々なルートから幅広い情報を得る、というのが予報を見るうえでの答えでしょうか。
予報が出る前から「冷夏・大雨」という文字が並ぶ、今朝のテレビ欄を見て、改めてそう思いました。