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2度のダウンを挽回し、逆転KO勝ちを収めた42歳のヘビー級世界ランカー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 現地時間の元旦にフロリダ州で催されたIBFヘビー級挑戦者決定戦。10位にランクされるルイス・オルティス(42)は、初回に2位のチャールズ・マーティン(35)の左ストレートを浴びてダウン。4ラウンドにもジャブを喰らって2度目のダウンと、劣勢に立たされた。

 リングサイドで戦況を見詰めるオルティスの娘は、父親のピンチに涙を零していた。

 元IBFヘビー級チャンピオンのマーティンは、この時、勝利を確信していたに違いない。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 しかし、オルティスは第6ラウンドに起死回生の左オーバーハンドでマーティンを棒立ちにすると、一気に畳み掛ける。激しいラッシュで2度のダウンを奪い、同ラウンド1分37秒にTKO勝ちを収めた。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 戦績を33勝 (28KO)2敗としたオルティスは、試合後に語った。

 「今夜の試合に懸けていた。何の心配も無かった。トレーナーに『ジャブを打ち続けろ』とアドバイスされ、その通りにしたよ。

 サウスポー同士の対戦っていうのは、非常にやり難い。自分のインテリジェンスが勝利に繋がったね」

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「自分の後ろには、家族や、支えてくれているファンの存在がある。そのことを俺は理解している。今夜の試合で花火を打ち上げるって、皆に言っていたんだ。確かにダウンを喰らったけど、試合を決めたのは俺だ。

 マーティンのことは心から尊敬しているよ。タイトル獲得に向け、どんなヘビー級選手とだって戦う」

 安堵の表情を浮かべながら、家族と共に記念写真におさまるオルティスの姿が微笑ましかった。

 現地時間の元旦に催されたヘビー級対決はスリリングで、2022年初のボクシング興行として申し分のない盛り上がりを見せた。勝利を掴みかけたマーティンは、28勝(25KO)3敗1分けとなった。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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