大相撲5月場所がスタート 広報部長・佐渡ヶ嶽親方の“推し”は39歳の玉鷲⁉ 改名した琴櫻への思いも
「夏場所」の名にふさわしい初夏の気候のなか、大相撲5月場所が両国国技館でスタートした。年々チケットが入手困難になるほどの賑わいで、特に日曜日の初日は国内外から多くの観客が足を運ぶ。上位陣の活躍に若手の台頭が期待される今場所。4月から広報部長に着任した佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)に、父であり先代の師匠(元横綱・琴櫻)の四股名を襲名した息子の大関・琴櫻らについて話を聞いた。
広報部長は多忙の初日 新たなグッズなど自らPRも
大相撲5月場所初日の広報部。「まだまだ業務に慣れませんよ」と笑う佐渡ヶ嶽広報部長は、初日から会議や訪問者の挨拶対応に追われ、息つく暇もない。協会内外での業務をこなしながら、場所のPRに奔走している。
今場所、国技館内に新たに登場したのは、2階向正面に設置された巨大なクレーンゲームだ。マスキングテープなどのグッズが入っており、「当たり」は関取衆の直筆サインやメッセージ入りのチェキだという。
さらには、100円で回せる「証明写真風シール」のガチャも新登場。初日は昼前に完売したという盛況ぶりだ。佐渡ヶ嶽親方も場所前に挑戦し、前任の広報部長である芝田山親方のシールが当たったと教えてくれた。
改名の大関・琴櫻 師匠が四股名への思いを語る
佐渡ヶ嶽親方には、自身の四股名でもあった琴ノ若から先代の師匠の琴櫻に改名した息子の大関・琴櫻についても伺った。先代、つまりご自身の父であり師匠であった琴櫻の四股名になった息子のことを「呼びにくい」とはにかむが、「若」から「櫻(さくら)」に呼び方を変えたという。
「先日、退職された尾車親方が先代のお墓参りに来てくださいました。『退職前にもう一度“琴櫻”の名前を見ることができてよかった』とおっしゃっていただいた一方で、『なんて呼べばいいのかなあ』って。呼び捨てにしたら、まるで先代を呼び捨てにしているみたいだからね(笑)。それでも、私は『さくら』と呼ぶようにしています。本人の名前になっていく、その自覚をもってもらわないといけないからです。四股名で呼んであげることで、自分の名前になったと思ってもらいたいと思っています。今場所も元気いっぱいですよ。勝ちたいというより、おまえらしい相撲を取ってこいと、それだけ声をかけました」
館内では今場所から大関「琴櫻弁当」の販売も開始。自身の好物であるガーリックライスや、先代の出身地である鳥取県、親方の出身地である山形県の郷土料理が入っている。親方も「どこかで買って食べてみよう」と楽しみにしていた。
親方一押しは39歳の玉鷲! 館内盛況も波乱の初日
上位陣、そして若手の力に大きく期待していると話す佐渡ヶ嶽親方。一方で、個人的に目をつけている力士は、39歳で土俵に立つ玉鷲だという。
「魅力がある、頑張っている力士だと思いますね。だいたい、お尻の筋肉が落ちるとそろそろ潮時だといわれています。お尻の筋肉が落ちるのは、四股が踏めていない証拠だからです。でも、玉鷲は体が張っているし、相撲も若い。39歳でしょ?すごいですよ」
親方一押しの玉鷲は、15歳年下の琴勝峰を押し出しで破って白星発進。協会としても部屋としても、「強い力士をどんどん育てて、皆さんに大相撲を見に行きたいと思っていただけるように、私もいま目の前のお仕事をすべてありがたいと思って取り組んでいきたいと思います」と佐渡ヶ嶽親方は語った。
親方の思惑通り賑わう国技館だが、初日は波乱だった。なんと、横綱・照ノ富士と大関陣4人が総崩れ。横綱に初勝利した大の里をはじめ、相手となった力士が皆いい相撲で相手を沈めたと言える一方で、上位陣に土がつくと、場所の今後に暗雲が垂れ込める。
先場所で新入幕の尊富士が優勝したように、また若い力が土俵に鮮烈な光をもたらすのか、それとも上位がその壁となり立ちはだかるか。佐渡ヶ嶽親方の「力士一人ひとり、全員に期待しています」の言葉通り、今場所もまっさらな目線で一人ひとりを見守っていこう。