ドバイワールドカップデー、日本調教馬5勝の快挙!
現地時間26日、アラブ首長国連邦ドバイのメイダン競馬場でドバイワールドカップミーティングが行われた。ドバイワールドカップミーティングは毎年3月下旬のこの日に行われる国際競走の総称で、2022年は6つのG1、3つのG2レースから構成されている。
9レース中、最初の1レースを除く8レースがサラブレッドの競走であり、その全てに日本調教馬・全26頭が参戦していた。そして、なんと5つのレースで優勝したのだ。類まれなる貴重な1日となった。
1勝目は矢作厩舎のバスラットレオン
1レースは純血アラブ種によるG1だったため、日本調教馬の出走はなかった。
2レースには3頭が参戦。スタート直後のポジション争いで先頭をとった矢作厩舎のバスラットレオンがそのまま逃げ切って優勝した。騎乗したのは矢作厩舎所属騎手である坂井瑠星騎手。近年海外での活躍が目立つ矢作厩舎だが、嬉しい師弟による優勝劇であった。
また、バスラットレオンの勝負服はロイヤルブルーに模様があしらわれているが、この色はドバイを拠点とするゴドルフィンの勝負服に用いられており、色彩がよく似ている。ドバイの地でゴドルフィンではないロイヤルブルーが輝いたレースであった。
◇2R ゴドルフィンマイル(G2、ダート1600m)
1着 バスラットレオン(牡4歳 栗東・矢作芳人厩舎)
4着 ソリストサンダー(牡7歳 栗東・高柳大輔厩舎)
14着 フルフラット(牡5歳 栗東・森秀行厩舎)
■2022年ゴドルフィンマイル(G2) 優勝馬 バスラットレオン
2勝目もまた矢作厩舎のステイフーリッシュ
続く3レース。また矢作厩舎のステイフーリッシュが勝利を手にした。鞍上はクリストフ・ルメール騎手。3200mの長丁場、好位でレースを進め、ラストの追い比べでラスト100mを切ったあたりで抜け出し、栄冠を手にした。
ステイフーリッシュの父は亡きステイゴールドで、日本では重賞に数多く出走したが善戦が多く日経新春杯(G2)など重賞2勝にとどまっていたが、海外では2001年のドバイシーマクラシックを優勝。のちにラストランの香港でG1勝ちをおさめた。
息子のステイフーリッシュも昨2021年12月の香港から海外を3戦転戦しているが、香港5着→サウジ1着→ドバイ1着の好成績。親子そろって海外の水があっているのだろうか。7歳にして、さらなる高みを目指すステイフーリッシュの今後が楽しみだ。
◇3R ドバイゴールドカップ(G2、芝3200m)
1着 ステイフーリッシュ(牡7歳 栗東・矢作芳人厩舎)
7着 ヴェローチェオロ(牡4歳 栗東・須貝尚介厩舎)
■2022年ドバイゴールドカップ(G2) 優勝馬 ステイフーリッシュ
◇4R アルクオーツスプリント(G1、芝1200m)
9着 ラウダシオン(牡5歳 栗東・斉藤崇史厩舎)
12着 エントシャイデン(牡7歳 栗東・矢作芳人厩舎)
(1着 アーケスオブユー 牡4歳 愛 A・マクギネス厩舎)
3勝目、開業3年目・新谷厩舎クラウンプライドが優勝
UAEダービーは好位でレースを進めたダミアン・レーン騎乗のクラウンプライドが優勝した。
父はリーチザクラウン。これまで産駒でJRA重賞を勝ったのはキョウヘイ1頭だったが、この勝利により再度リーチザクラウンが注目されると嬉しい。
管理する新谷功一厩舎はこれが初の重賞勝ちであった。
◇5R UAEダービー(G2、ダート1900m)
1着 クラウンプライド(牡3歳 栗東・新谷功一厩舎)
6着 レイワホマレ(牡3歳 栗東・高柳大輔厩舎)
8着 セキフウ(牡3歳 栗東・武幸四郎厩舎)
11着 コンバスチョン(牡3歳 美浦・伊藤圭三厩舎)
■5R 2022年UAEダービー(G2) 優勝馬 クラウンプライド
6レースはダートの短距離戦。日本のレッドルゼルは大外から追い込むも、力及ばずの2着に敗れた。
◇6R ドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200m)
2着 レッドルゼル(牡6歳 栗東・安田隆行厩舎)
4着 チェーンオブラブ(牝5歳 美浦・小笠倫弘厩舎)
■2022年ドバイゴールデンシャヒーン(G1) 優勝馬 スイッツァランド(UAE)
4勝目はまたまた矢作厩舎・パンサラッサ
4勝目は実にきわどい勝負だった。パンサラッサはいつもどおり逃げたのだが、大逃げというわけではなく、後続とはあまり離れずにレースを進めていた。直線に入り、後続を引き離しにかかるが昨年の覇者・ロードノースが差を詰めてきた。さらに外から日本のヴァンドギャルドが襲い掛かる。激しいデットヒート。直線では3頭が馬体を並べてゴールしており、その中でヴァンドギャルドの体勢が不利なのはすぐにわかったが、パンサラッサとロードノースのどちらが勝っているのかはわからなかった。長い時間をかけての判定写真による検証ののち、2頭が同着と発表。表彰式ではパンサラッサの吉田豊騎手とロードノースのランフランコ・デットーリ騎手が二人で優勝カップをかかげる姿がみられた。
◇7R ドバイターフ(G1、芝1800m)
1着 パンサラッサ(牡5歳 栗東・矢作芳人厩舎)
(1着同着 ロードノース せん6歳 英 J・ゴスデン厩舎)
3着 ヴァンドギャルド(牡6歳 栗東・藤原英昭厩舎)
8着 シュネルマイスター(牡4歳 美浦・手塚貴久厩舎)
■2022年ドバイターフ(G1) 優勝馬 パンサラッサ(日本)、ロードノース(英)
5勝目は日本ダービー馬初の海外GI制覇・シャフリヤール
5勝目はドバイシーマクラシック。5頭が参戦し、日本ダービー馬のシャフリヤールが勝利をおさめた。オーソリティが逃げ、クリスチャン・デムーロ騎手を背にしたシャフリヤールは好位につけてレースを進めた。直線では大外からユビアー(UAE)が追ってきたが、先頭は譲らなかった。
レース後、デムーロ騎手は「(シャフリヤールは)まだまだ成長の余地を残しているし、もっと良くなる」と話しており、今後のさらなる飛躍を期待させた。
なお、日本ダービー馬の海外G1制覇ははじめて。ドバイシーマクラシックの日本調教馬優勝は、ステイゴールド(2001年当時はG2)、ハーツクライ(2006年)、ジェンティルドンナ(2014年)に続く4頭目だった。
◇8R ドバイシーマクラシック(G1、芝2410m)
1着 シャフリヤール(牡4歳 栗東・藤原英昭厩舎)
3着 オーソリティ(牡5歳 美浦・木村哲也厩舎)
5着 ユーバーレーベン(牝4歳 美浦・手塚貴久厩舎)
8着 グローリーヴェイズ(牡7歳 美浦・尾関知人厩舎)
9着 ステラヴェローチェ(牡4歳 栗東・須貝尚介厩舎)
■2022年ドバイシーマクラシック(G1) 優勝馬 シャフリヤール
最後は1着賞金6,960,000米ドル(約8億5000万円)のドバイワールドカップ。日本馬はチュウワウィザード1頭が参戦し、3着に善戦した。
◇9R ドバイワールドカップ(G1、ダート2000m)
3着 チュウワウィザード(牡7歳 栗東・大久保龍志厩舎)
■2022年ドバイワールドカップ(G1) 優勝馬 カントリーグラマー(UAE)
日本列島では寒の戻りが感じられる中、熱く眠れない夜となった方も多かったのではないだろうか。この日、改めて日本馬のレベルの高さを痛感した。今回優勝した馬たちを負かす馬は日本にたくさんいるのだ。
また、もともと賞金の高さを誇るドバイワールドカップミーティングだが、昨今の円安により日本円に換算したときの金額の高さに驚いた。日本で重賞を勝つより、ドバイ等で入着したほうが稼げるケースは少なくない。こういった背景からも、さらに海外転戦を続ける陣営もあるだろう。その動向に注目したい。