米デスバレーで「54.4度」世界の観測史上2位の記録か
カリフォルニア州デスバレーは、海抜マイナス86メートルという、北米一低い谷に位置しています。深い谷には暑さがこもりやすく、死の谷を意味するその名前からもわかるように、昔から多くの人々が命を落としてきました。
そんなデスバレーで9日(金)、54.4度(華氏130度)まで気温が上昇しました。
これが正式な記録として認められれば、世界の観測史上2番目の高温となる可能性があります。同じ場所では昨年8月にも全く同じ54.4度の気温が観測されており、この記録に並びます。
100年以上続く、世界の最高気温記録
現在の世界最高気温記録は、今から100年以上も前の、1913年7月10日にデスバレーで出た56.7度(華氏134度)です。567と並んでいるので、覚えやすい数字です。
しかしこの数値には疑問が投げかけられています。世界気温のエクスパート、クリストファー・バートさんは「気象学的に見て、本質的に不可能だ」と発言しているほどです。その理由として、測器の設置場所が適当ではなかった可能性や、高温の砂嵐が発生した最中に計測されたため実際よりも2度ほど高かった可能性など、いくつかの憶測を呼んでいます。
世界気象機関が検証を続けているようですが、もし無効になれば、今回出た54.4度が世界最高気温となる可能性もあります。
デスバレーの天気予報
暑さはしばらく続きます。それどころか、10日(土)も11日(日)もデスバレーでは54.4度(華氏130度)まで上がると気象局は予想しているほどです。これほどの高温が3日も続けて観測されれば、前代未聞の出来事と言えるでしょう。
カナダでは49.6度
北米は2週間前にも、歴史に残る大熱波に襲われました。暑さの舞台となったのはアメリカ北西部やカナダで、数日間にわたって広範囲で高温記録が塗り替えられました。
なかでもカナダのリットンという小さな村では、6月30日に49.6度まで上がって、カナダの国内史上最高気温となりました。非常に悲しいことに、リットンではこの記録が出た直後に山火事が起こり、村の9割が焼失する大惨事となりました。
カナダと言えば、世界でも有数の寒い国です。確率上、1000年に一度、もしかすると数千年に一度の頻度でしか起こらない高温だったといいます。
高温の裏の危険
ところで先のデスバレーの話に戻ると、ここは記録的な高温が出るたびに観光客が殺到する不思議な場所でもあります。
高温で死亡するケースも珍しくないのですが、意外なことに、デスバレーの死亡事故の最大要因は熱中症ではなく、車の自損事故だそうです。岩と砂の代り映えのしない光景で、スピードの出しすぎやシートベルトの不着用が後を絶たないのです。
高温下では熱中症への注意を怠らないことが大前提ですが、その裏で見落とされがちな危険もあるようです。