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世代を超えたJジャズ界牽引役たちの饗宴「Jazz Momentum」1/6・1/7開催

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

2022年1月に東京・丸ノ内のコットンクラブで3日間にわたり開催された「Jazz Momentum」は、気鋭の若手をイントロデュースするにとどまらず、1990年代以降の“Jジャズ”と冠されて世界にその存在感を発信することとなったシーンの立役者たちが“胸を貸し”つつも新たな化学反応を起こそうという、それまでのフェス的なジャムやゲスト頼みのワン・ナイト・スタンドとはベクトルの異なるライヴ企画として注目を浴びることになった。

その「Jazz Momentum」が2023年1月にも開催されるというニュースが届いた。

Jazz Momentumのコンセプト

Jazz Momentumの発端は1990年代。

ジャズを生み育てたアメリカでは、1970年代以降にポピュラー・ミュージックの重心がロックやAORへ移り、1910年代から半世紀ほど“国民的音楽”の座を占めていたジャズの影も薄くなりつつあった。

しかし、アメリカ建国200年という記念すべき1976年に、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで特別プログラムが組まれるなど“ジャズ復興”という兆しが見え始める。

1980年代に入ると、ジャズ・レーベルの象徴的存在だったブルーノートの活動再開に合わせたように、ニューヨークを拠点にしていた若手が1960年代のメインストリーム=ハード・バップを範としたジャズを前面に展開。

こうしたムーヴメントを現地で体験した留学組が帰国、日本のジャズ・シーンにも影響を与える活動を始めた──というのが1990年に日本で勃発した“日本ジャズ維新”だった。

その“日本ジャズ維新”の先導役のひとりだった大坂昌彦の呼びかけで、東京・神田岩本町のTOKYO TUCで開催していたライヴ企画がJAZZ BATTLE ROYAL。

JAZZ BATTLE ROYALに参加していた“若手”も“ベテラン”と呼ばれるようになった2020年代に、当時のマインドを糧として新たなジャズの路を切り拓かんと立案されたのが、Jazz Momentumなのだ。

Jazz Momentum 2023 概要

画像提供:COTTON CLUB
画像提供:COTTON CLUB

Jazz Momentum開催は2022年1月に続いて2回目。

今年は1/6と1/7の2日間にわたり2セットずつ、合計4ステージが予定されている。

日程と出演者は以下のとおり。

1/6(金)

[1st.show] open 4:30pm / start 5:30pm

[2nd.show] open 7:30pm / start 8:30pm

1/7(土)

[1st.show] open 2:30pm / start 3:30pm

[2nd.show] open 5:30pm / start 6:30pm

出演者

原朋直 (tp)

松井秀太郎 (tp)

松原慎之介 (as)

佐々木梨子 (as)

川嶋哲郎 (ts)

曽我部泰紀 (ts)

壷阪健登 (p)

苗代尚寛 (g)

金澤英明 (b)

小田桐和寛 (ds)

【Special Guest】

森山威男 (ds)

峰厚介 (ts) 1/6のみ

★Navigator:臼井ミトン

見どころのヒント

メインは、“日本ジャズ維新”世代と“若手”の“バトル”。

そして今回は、森山威男、峰厚介という、1970年代のジャズ・シーンで“若手”として注目されたレジェンドが参戦する。

“日本ジャズ維新”よりふた昔前、“アメリカのコピー”が評価されていた戦後ジャズの大ブームがシュリンクしたあとに登場した彼ら世代のジャズは、いまでも“サムライ・ジャズ”と呼ばれて世界のジャズ・ファンの熱い視線を浴び続けている。

彼らが切磋琢磨した“ジャズの個性”と、“日本ジャズ維新”の世代、そして情報化が進むなかジャズの歴史を“あたりまえのように”吸収して育った現在の“若手”が、いかにぶつかり合い、溶け合おうとするのか、そんな予定調和なしの実現という高いハードルを超えるべく、“ジャズ・イディオム”のビミョーな(あるいは深刻な)世代の齟齬をも超えた“音楽による会話”が成し遂げられるのか──に注目してみたい。

Jazz Momentum 2023 特設ページ

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2023/jazz-momentum/

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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