ノルウェー国民の多くが霊媒師と結婚した王女の称号剥奪を望む
8月31日にアメリカ出身の霊媒師(シャーマン)と結婚した王位継承順位第4位のマッタ・ルイーセ王女。
9月8日、ノルウェー公共局NRKが最新の世論調査を発表。結果は王室にとって望ましいものではなかった。
王室の支持率低下
- ほぼ10人中7人がルイーセ王女の爵位を剥奪すべきと考えている
- 王室を支持する 62% ( 2017年で国王夫妻が80歳を迎えた時は81%)
- 他の統制の形を望む 27%
- マッタ・ルイーセ王女は王女の称号を失うべき 69%
- マッタ・ルイーセ王女は王女の称号を維持するべき 16%
- マッタ・ルイーセ王女は王室を代表する非常に優れた人物か? 10点満点中3.1点と、王室メンバーの中で、断トツ最下位
王室と立憲君主制の未来は、みんなで話し合う
皆さんは、日本の皇室の在り方の「決定」に、「自分も関われる」とmどれほど感じているだろうか?
ノルウェーでは、王室や君主制のこれからの形や、ルイーセ王女の称号が維持されるべきか否かという議論に、「当然、自分も参加できる」という意思が根底にある。「みんなで決める」という、北欧の民主主義の在り方ともいえるだろう。
もちろん、最終的に家族の称号が剥奪されるか否かを決断するのは、国王とノルウェー国会だ。しかし、国王は独断で物事を決定できるわけではない。数年かけて、メディアの報道やいくつもの世論調査、議論に参加する専門家や市民たちの声を踏まえたうえで、決定を行わなければいけない。それが国王に求められるリーダーシップだ。だから、ノルウェーでは数年かけての世論調査やメディア・SNSでの議論や報道は、国王の決定に大きな影響を与える。
議論再開のために、結婚式が終わるのを待っていた
今回、筆者も含め、王室の在り方に関心がある人や報道関係者は、「結婚式が終わるのを待っていた」と言える。
二人が結婚することは明白だったし、結婚式の当日に批判や否定的な言葉を浴びせようと考える人は少ない。誰の結婚であれ、大切な日には祝いの言葉を贈る。
結婚式が終わってからこそが、今後の王室の在り方、国王は愛娘に対してどう重い腰をあげるのか・あげないのか、ルイーセ王女の称号の議論が再燃するのは目に見えていた。
公共局は式直後に、まるで待っていたかのように、王女と霊媒師の称号の商用利用について議論番組を放送したり、世論調査を発表している。「メディアは権力を監視する番犬」と考える傾向が強いノルウェーなので、どのメディアでもこの話題で持ち切りだ。
結婚式前から、国王は「結婚式が終わったら、娘と対話の場を設ける」というサインを出してはいたが、いつ行われるのかなどのヒントは王室からはまだ出ていない。
最大の問題は、カップルが称号を怪しい商売に商用利用していること
ルイーセ王女と結婚したデュレク・ヴェレットは、互いにスピリチュアル事業にのめり込んでいる。
たとえ、称号が剥奪されたとしても、「ノルウェー国王の愛娘」であることは変わらず、王室との関係を商売に利用するだろう。それでも、王室という制度が個人的なビジネスに利用されていることは、ノルウェーの国民にとって受け入れがたい。
「自分勝手な言動で、ノルウェーで大切にされてきた民主主義の象徴である王室という制度に泥を塗っている、そのことを『気にしていなさそう』な王女の態度も、現地で不満が大きくなっている理由のひとつだ。
下がり続ける支持率を、もとの高い信頼数値に戻すのは簡単なことではない。
国王は家族内のもめ事を、次世代に引き継ぐのか?問われるリーダーシップ
もう高齢のハーラル国王だが、息子のホーコン王大使が国王になるまで、ルイーセ王女という「問題児」を放置して、次期国王の息子に厄介案件を引き継ぐのか。
デンマークでは、マルグレーテ女王が世代交代を発表する前に、孫の称号をはく奪して、王族の縮小化を図った。息子が国王になる前に、「家族内の面倒なもめ事」を自分の代で解決しようとしたことは、リーダーシップとして評価された。母が行動していなかったら、息子たちが言い争いをするはめになっただろう。心優しいノルウェー国王にはこのような決断ができるだろうか?
王室と国王はこれからどう行動に出るのか・出ないのか、現地では注目が集まっている。