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すでに6回の完封負け!MLBワースト記録ペースで推移するアスレチックス貧打線に未来はある?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
チームトップの打率を残すシェルドン・ニューズ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【現在も2割3分台で推移しているリーグ打率】

 すでに日米のメディアで指摘されていることだが、今シーズンはここまで完全な“投高打底”傾向で推移している。

 現地時間5月17日の公式戦終了時点で(以下の数値はすべて『Baseball Reference.com』から引用)、リーグ全体の打率は.235、長打率も.377と低調が続いている。打率が2割3分台で推移しているのは1968年シーズン以来で、長打率が4割を割っているのは2014年シーズン以来のことだ。

 さらに1試合当たりの本塁打率も0.97と1を下回っており、こちらも2014年シーズン来の低調ぶりを見せている。

 今シーズンからユニバーサルDH制が採用され、ナ・リーグ主催試合でも投手が打席に立つ必要がなくなったので、本来なら打撃部門の数字が上がってもおかしくないところだ。そのためメディアからも今シーズンの公式球は“飛ばない”との声が挙がっているわけだ。

 ただシーズン開幕から低反発球を導入した昨シーズンも、4月を終わった時点で打率が2割3分台で推移していたものの、徐々に打率が上がっていきシーズン前半戦終了時点で.240まで戻しており、今後上昇していく可能性はある。

【貧打戦に苦しむアスレチックスとDバックス】

 今シーズンの打低ぶりを象徴する存在が、シーズン開幕から低迷しているアスレチックスとダイヤモンドバックスだろう。同じく5月17日終了時点でのチーム打率は、アスレチックスが.202、ダイヤモンドバックスが.205と2割1分を割っている状態だ。

 ちなみに記録などを専門に扱っている『BASEBALL ALIMANIC』によれば、MLBにおけるチーム打率のシーズン最低記録は、ア・リーグが1910年シーズンのホワイトソックスの.212で、ナ・リーグが1888年シーズンのセネターズ(現レンジャーズ)の.207ということだ。

 つまり両チームは、MLBワースト記録を下回る記録的なペースで打線が沈黙し続けているのだ。

 ただしダイヤモンドバックスの場合、4月の月間打率が.181だったの対し、5月月間打率は.237と上昇傾向にある。だがアスレチックスは、4月が.212だったのに5月が.190とむしろ下がっているのだから、より深刻だといえるだろう。

【すでに6回の完封負けを喫しているアスレチックス】

 打線が沈黙しているのだから、それだけ得点するのが難しくなっている。それを物語るように、アスレチックスはすでに6回も完封負けを喫している。また5得点以上を記録した試合も、39試合中11試合しかない。

 もちろんチームには打率3割を超える打者など1人もおらず、規定打席以上で打率2割を超えている打者でさえ、シェルドン・ニューズ選手の.281を筆頭に3人しか存在していない。

 それでも得点は128でMLB25位に入っており、まだ下位に5チーム(下からタイガース、パイレーツ、オリオールズ、ロイヤルズ、ホワイトソックス)が存在しているのだから、むしろ健闘しているといえるかもしれない。

 アスレチックス打線の低迷はどこまで続くのだろうか。このままMLBワースト記録を狙えるようなシーズンになってしまうのだろうか。

 最後に5月18日のツインズ戦では12安打を放ち(それでも4得点しかできず敗戦)、打率が.205まで上がったことを付け加えておきたい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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