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【逃げ上手の若君】4人の声優が明かす魂の舞台ウラ!作品に何を想いアニメへ命を吹き込むのか?(前編)

原田ゆきひろ歴史・文化ライター
松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

『逃げ上手の若君』とは?

原作は「週刊少年ジャンプ」にて連載中の歴史スペクタクル漫画です。主人公は鎌倉幕府の正統後継者である “北条時行(ほうじょう・ときゆき)”

ところが物語の冒頭で北条氏は、いきなり滅ぼされてしまいます。とつぜん何もかも無くし、そのうえ討伐の対象にされてしまった時行が、そこからどう生きていくのかが描かれます。

可愛らしいキャラデザインやうつくしい衣服に、詳細な背景描写。また「ふふっ」と笑ってしまうような現代ネタや、迫力のバトルシーンも盛りこまれています。

しかし原作者である松井優征先生の歴史に対するリサーチや、情熱は並々ならぬものがあり、つきぬけた世界観にも関わらず「本当に、こういう感じだったのかも知れない」というリアリティも感じる、これまでにないタイプの作品と言えます。

そのためジャンプのファンのみならず、研究者や学者など専門家からも注目されている、今後とも目が離せない漫画作品です。

メインキャストたちの想い

“逃げ若”の通称で呼ばれる、本作。7月6日23時30分からTVアニメの放送が開始されました。

そこで、この記事ではスタートのタイミングで、メインキャストに選ばれた4名の声優キャストにインタビュー。

この作品に何を想い、どのように向き合いアフレコに臨まれたのか。ほかでは聞けない秘話もあり、必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

【北条時行役】結川あさきさん

【結川あさき】
持ち前の瑞々しい声と豊かな表現力で視聴者を魅了する、新進気鋭の若手声優。 東京都出身。アイムエンタープライズ所属。特技はフットサル。日本漢字能力検定準1級を所持。

Q 結川さんには“時行っぽい”ところがあり、それが役の抜擢理由のひとつと、耳にしました。ご自分でも、そのように感じられる部分がありますか?

A そうですね。時行はすべてを失ったところから、仲間たちとの出会いによって再び歩んで行きます。個人的には何かを失ったということはないのですが、私の“逃げ若”との関わりはある意味で、何もない状態から始まりました。

そうしたこともあり、何かを飾ろうとしたり作ったりしようとするのではなく、心から素の部分を出して、懸命にやらせていただいたつもりです。

もしかすると、そういう必死さや熱意の部分が、監督やプロデューサーに「時行っぽい」と感じていただけたのかも知れません。

Q “逃げ若”は歴史スペクタクル作品ですが、中学、高校の授業などで日本史はお好きでしたか?

A それが正直なところ、もともとは好きも嫌いもあまりなく、テストのために暗記するものという認識でした。とくに鎌倉時代のあたりなどは、試験が終わればほとんど抜け落ちて、覚えていませんでしたね。

でも“逃げ若”の原作を読んだとき、登場人物みんなが活き活きとしていて、とても細かいところまで表現され、何より物語としての魅力に夢中になりました。

そして今度は私が歴史人物を演じることになり、どうやったら面白くなるだろうと考える日々です。今となっては、もう以前とはまったく違った親しみを感じますね。

Q 作中では演じる時行以外に、だれか気になるキャラクターはいますか?

A 小笠原貞宗(おがさわら・さだむね)ですね。最初はとにかく、顔面のインパクトがすごいので、顔ばかりに目が行ってしまうのですが、じつは本当の中身はかっこよくて、面白い方なんです(笑)

敵役に魅力的な人物がたくさんいるのも、“逃げ若”の特徴だと思います。視聴者の方にはそんな部分にもぜひ、注目していただきたいですね。

※北条時行の宿敵として立ちはだかる“足利尊氏”
※北条時行の宿敵として立ちはだかる“足利尊氏”

Q 時行の生き様を通し、視聴者に伝えたいメッセージなどがあれば、教えてください。

 はい。タイトルの通り、逃げる姿が輝く時行ですが、はじめて戦いから逃げるときは心の底から動揺していました。北条の子として潔く散らずに、逃げる選択は本当に正しいのかと。

最初の地点から逃げ出して、もういちど戻ろうというのは、今の価値観でもネガティブなイメージが強いですよね。

葛藤して一度は逃げつつも、でも最後は勝つんだ、必ず変えられるんだ!と信じて向かい続ける。現代の私たちも、何かと困難に立ち止まってしまうことは多いですが、きっと時行たちの姿は、色々な気づきや希望を与えてくれると思います。

≫【後編】4人の声優が明かす魂の舞台ウラ

歴史・文化ライター

■東京都在住■文化・歴史ライター/取材記者■社会福祉士■古今東西のあらゆる人・モノ・コトを読み解き、分かりやすい表現で書き綴る。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。■著書『アマゾン川が教えてくれた人生を面白く過ごすための10の人生観』

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