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「小泉今日子」さんと交際中の「豊原功補」さんが妻と「円満離婚」~「円満離婚」の条件とは

竹内豊行政書士
小泉今日子さんと交際中の豊原功補さんが「円満離婚」をしたと報じられました。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

小泉今日子さんと不倫関係にあった豊原功補さんが昨年、一般人の妻と離婚していたと報じられました。

週刊誌の取材に豊原さんは次のように答えています。

──昨年3月頃に離婚が成立したそうですが。

「そうですね。はい」

──話し合いがきちんとされて、円満離婚ということですか。

「はい、もちろんです」

 離婚の成立を認めた豊原は、A子(筆者注:豊原さんの元妻)さんに最大限の配慮をしたという。

引用:小泉今日子と交際中の豊原功補が妻と離婚成立 「円満離婚」を強調

豊原さんは取材に対して「円満離婚」を強調されています。そこで、今回は、「円満離婚」とはどのような離婚をいうのか考えてみたいと思います。

離婚の意義

人と人との結合である結婚生活に不仲は起こりうるし、円満な夫婦生活に戻そうと努力を強制することが不可能なこともあります。

破綻した、形だけの結婚は、配偶者以外の性的関係を生むこともあり、結婚の価値をかえって否定することにもなります。

破綻した結婚から当事者を解放し、再婚や自立の自由を保障することが、離婚の第一の目的といえます。

円満離婚とは~協議離婚

民法が定める離婚は、次の2つがあります。

1.夫婦の間に離婚の合意がまとまり、それを戸籍法の定まるところに従い届け出ることによって成立する協議離婚(民法763条)。

2.民法の定める一定の離婚原因がある場合に離婚の訴えが認められ、判決によって成立する裁判離婚(民法770条)。

豊原さんが強調する「円満離婚」とは、夫婦で話し合った結果、離婚に合意したということを意味すると推測されるので、協議離婚で夫婦関係を解消したものと考えられます。反対に「泥沼離婚」と報じられる多くは、当事者間で離婚の合意に至らず、司法の力により夫婦関係を解消する裁判離婚が考えられます。

協議離婚の問題点

協議離婚制度は、夫婦関係の解消という問題を夫婦間当事者の自主的解決にゆだね、離婚に対する国の介入を許さない点で、家族のプライバシーを守ることができる制度といえます。しかし、それは、当事者が対等に話し合える状況にあることや、離婚後のことに関して誠実に話し合えるだけの理性があることが前提となります。

一方的に「離婚届」を出されてしまうこともある

協議離婚は、離婚届を役所の戸籍係に届け出て受理されれば成立してしまいます。戸籍係には、「本当に当事者は離婚の意思があるのだろうか。調べてみよう」といった実質的な審査権はないので、当事者双方の離婚に対する意思を確認する手段はありません。その結果、一方的な離婚の届出がなされて、相手側配偶者が知らぬ間に離婚してしまうということもありえます。

十分な話し合いなしに離婚届を出してしまう

また、夫婦や親子関係の調整を十分つけづに、離婚の届出がなされてしまうこともあります。この点は、財産分与や子どもの養育費や離婚後の親子の交流についての協議が不十分なまま離婚をしてしまうことに顕著に表れています。

不受理申出制度

離婚について十分な話し合いができない内に、一方的に離婚届を出されてしまうことを阻止する制度として、不受理申出制度があります(戸籍法27条の2第3項~5項)。

不受理申出後、申出をした本人が窓口に来たことが確認できなかったときは離婚届等の届出は受理されません(不受理申出制度について詳しくは、「離婚」で後悔しないための「心得」と「知識」をご覧ください)。

前述の報道によると、豊原さんの知人の話が事実であるとすれば、豊原さんが小泉さんとの不倫関係を公表したときに高校生だった子どもが成人に達したこと、以前妻子と住んでいたマンションを妻に財産分与するなどした結果、双方合意しての離婚となったようです。このようなことを踏まえて豊原さんは「円満離婚」を強調したと考えられます。

「円満離婚」と言えるには、単に協議離婚という法的手段を選択したということではなく、夫婦間で十分な話し合いをもち、双方納得のうえ、離婚を選択したことが条件となります。

特に、離婚後に財産分与や子どもの養育費や離婚後の親子の交流について紛糾することが多いようです。離婚を選択する場合は、感情に押し流されることなく、離婚後の生活を冷静に見据えることも大切です。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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