なるほどな面と意外な面と…諸外国の若者による日本像の実態
海外の人がイメージするステレオタイプの日本像は日本人自身にもよく知られるところだが(例えばスシ、天ぷら、フジヤマ、芸者、カメラ、秋葉原、アニメ、オタク……)、実態として日本がどのように海外から思われているのか、それを推し量るのは、多様なノイズ・フィルタがあり、意外に難しい。YouTubeや掲示板における反応も、一部分の切り貼りの可能性もある。今回は2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果を基に、日本人自身も含め諸国の若年層が見た、「日本」のイメージを確認していく。
今件調査では「日本」そのものへの印象を、日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの若年層(13歳から29歳)を尋ねている。若者の日本に対する思いを知ることが出来て興味深い。
日本人の若年層の回答を確認すると「科学・技術が進んでいる」「優れた文化・芸術」「治安が良く安全・安心」が高く、「良い政治」「地球環境問題に積極的」が低い。また他国と比べると「発展途上国援助に積極的」「治安が良く安心・安全」「世界平和に貢献」が高め。特に後者に関しては、日本人の若者ほどには諸外国では認識していない実状が見えてくる。若年層に限った話だが、日本は自国民が思っているほど他国からは、諸外国への支援や援助、国内の治安の良さの点でポジティブな印象を持たれていない。支援や援助に関しては、実状不足よりむしろ、アピール不足の点が大きいのだろう。
各国動向としては、まず韓国の特異性が目立つ。今件項目ではポジティブな選択肢が多いことから、例えば「優れた文化・芸術」「世界平和に貢献」など他国と比べて際立った形で低い値を示している。そして「その他・この中に無し」では特異的な高値を示しているのも印象的。
「優れた文化・芸術」ではフランスがもっとも高く、アメリカが続いている。他方「科学・技術が進んでいる」ではドイツやスウェーデンが高値を示しており、これらの国が日本の技術へ高い評価をしていることが分かる。ただしそのドイツでは「経済的に豊か」の値が低め。日本を「技術はあるが豊かではない」というアンバランスな視点で見ているようだ。
全般的には日本国内への評価は高めで、対外行動ではやや低め。日本の外交ベタが如実に表れている。国内問題で異様な低さを示す「良い政治」だが、これは日本への政治のみの話なのか、若年層全般における自他国を問わずの政治不信の表れなのかまでは分からない。
もっとも、今調査対象母集団に対して他項目で問われている「どのようなことが自国の社会で問題なのか」のうち「よい政治が行われていない」では、どの国も比較的高い値を示しており、それに連動する形で「就職が難しく、失業も多い」「若者の意見が反映されていない」の声も多く挙がっている。
若者の政治不信は、対日本だけでなく、政治そのものに対してのものと考えた方が良いのだろう。
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