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スマホで変わる、悪化する高校生のライフスタイル

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「なんでこんなことに」スマホの使い過ぎで実感する生活の変化、悪化

数年前に流星のごとく登場し、人々の常識と日常生活を大きく変化させつつある、魔法のアイテムのような存在、スマートフォン。多種多様なアプリケーションにより、さまざまなモバイル機器の代用品としての役割を果たし、さらに新しい可能性を見出してくれる。好奇心の塊で自制心の構築半ばにある高校生にとっては、まさに「病みつき」となるツールに他ならない。

情報通信政策研究所が2014年5月に発表した、高校生を対象にした調査結果では、すでに85%の高校生がスマートフォンを使っており、そのうち4割は「寝る間も惜しんで」、1/3は「勉強の時間を減らしてまで」スマートフォンに時間を割いている。

↑ スマートフォン利用開始により減った時間(高校生、スマートフォン利用者限定、2014年1月、複数回答)
↑ スマートフォン利用開始により減った時間(高校生、スマートフォン利用者限定、2014年1月、複数回答)

このような多用、集中利用状態が続けば、当然どこかにゆがみ、きしみが生じてくる。利用過多で生じうる状況を列挙し、経験がある、身に覚えがあるものについて複数回答で尋ねたところ、「暇さえあればスマートフォンを操作している」状態にある人は4割を超えていた。スマホ利用の高校生の4割強は、「自分はスマホと一心同体。暇さえあれば手持ちのスマホを利用しネットにアクセスしている」と自認している。

↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)
↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)

さらに「起きている間はずっとスマートフォンでインターネットにアクセスしている」人も1割強。暇で無い時、具体的には何か他のことをしているにも関わらず、スマートフォンを操作しているとの認識をしている人を指す。例えば食事や勉強中、さらには他人との会話や入浴中なども該当するだろう。そのような状態ならば、「スマートフォンによるネット依存症かな」との自覚症状を持つ人も多い。この自覚を持つ人は1/4。スマホ持ちの高校生の4人に1人は「自分はインターネット依存状態にある」との認識を持つことになる。この状況にはやや驚かざるを得ない。

もう少し具体的な悪影響もある。例えば「試験に失敗」は5.4%。これは「スマホによるネットのし過ぎで試験で集中できず、時間も取れず、結果として悪い点を取った」ことを意味する。そのような経験がある高校生がスマホ利用者の20人に1人。さらに「友達を失ってしまった」「学校をずる休みしてしまった」との回答も、数%だが確実に存在する。その上、不健康になって病院に通院したことや、不登校・休学に陥った人もゼロではない。

この悪影響は、当然「自分はネット依存症だ」と自認している人ほど強いものとなっている。インターネットへの依存度合に関する自己診断の結果内容(自己診断そのものは「スマートフォン保有者の方が「ネット依存傾向」は強い法則」参考の事。本人の判断によるもので、医学的見地・裏付けのなされたものではない)で区分して再精査すると、依存症「高」判定者ほどさまざまな影響自覚率が高い。例えば「高」のうち2割近くは「試験に失敗」、7人に1人は「学校のずる休みを経験」と回答している。これらはあくまでも自覚症状による回答なので、本人の無自覚で生じる影響も加味すれば、さらに上乗せされることだろう。

↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)(ネット依存傾向別)
↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)(ネット依存傾向別)

百歩譲って「暇さえあれば」「起きている間は」は許容されるとしても、「試験に失敗」をはじめとした実体のマイナス影響が生じていること、特に依存自覚を持つ人にその経験率が高い現状には、十分に留意しなければならない。高校生の保護者はもちろん周辺の人達は、今更「スマホを使うな」と利用禁止を断じるのは無理だとしても、適切な使い方について今まで以上に啓蒙・教育を果たす必要があることは言うまでもない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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