日本海リーグ、人生を懸けた3番勝負は巨人3軍戦! 京本眞に抑え込まれる中、アピールしたのは誰だ!?
■読売ジャイアンツ3軍との3連戦
10月24日のNPBドラフト会議に向けて、日本海リーガーにとって貴重なアピールの場である「選抜試合」。石川ミリオンスターズ、富山GRNサンダーバーズの両チームから選出された選手たちで結成された合同チームで、NPBのチームと戦う。
先日の阪神タイガース・ファーム戦に続いて、9月19日からは読売ジャイアンツ3軍との3連戦が組まれた。まず初日は石川の本拠地である金沢市民野球場にてナイターで開催された。(阪神タイガース・ファームとの一戦⇒「阪神タイガース・ファームに勝利した日本海リーグ選抜! ドラフトに向けて猛アピール!」)
NPBのスカウト陣も7球団11人が視察に訪れ、“ダイヤの原石”を発掘すべく目を凝らして見ていた。この日、目に留まった選手はいたのだろうか。
■ランニングスコアとバッテリー
巨人 :100 301 200=7 H11 E2
日本海:000 000 100=1 H6 E2
巨人 :京本(7)、川嵜(1)、笠島(1)―大津
日本海:香水(2)、楽(1)、北浦(1)、村井(1)、村上(1)、道﨑(1)、瀧川(1)、日渡(1)―森本、東田
■得点経過
《表》
初回、先頭にヒットを許すと二盗、三盗を決められ、犠飛で1点を失った香水晴貴(石川)だが、二回は無得点に封じる。
三回の楽(石川)はわずか8球で無失点、しかし3番手の北浦遼那(石川)がソロ被弾を含む3点を失う。
村井拓海(石川)がテンポよく3人で抑えたあと、村上史晃(石川)は味方のエラーと犠飛で1失点(自責は0)、道﨑亮太(富山)も2点を献上する。
八回は瀧川優祐(富山)が、九回は日渡柊太(富山)が、それぞれ安定したピッチングでスコアボードに0を刻んだ。
《裏》
今季1軍で4試合に登板した京本眞に三回までパーフェクトに抑えられ、四回にようやく阿部大樹(石川)がヒットを記録するも、五回六回も完璧に封じ込まれる。
京本に手も足も出なかった日本海打線だったが、右腕に疲れが見えかけた七回だ。1死から大誠(石川)、墳下大輔(富山)、大坪梓恩(石川)の3連打に敵失が絡んでようやく1点を返した。
だが、反撃もそこまでで、八回は川嵜陽仁、九回は笠島尚樹に対してそれぞれ先頭(東田汰一、大誠)がヒットで出塁するも後続を断たれ、無得点に終わった。
■選抜チームの監督・富山GRNサンダーバーズの吉岡雄二監督のコメント
「ああいういい投手に対してというのは、なかなか対戦も少ないので、いきなりは難しい。でも、ああいうピッチャーと対戦できたのは、いい経験だとは思いますね。
球速以上に感じるストレートだったりとか、横から見ていてもそんな感じに見えていた。座席に立って実際にボールを見るというのは、映像で見るのとはイメージは全然違ったと思う。勢いなのか、球のキレなのか、そういうものはリーグ戦では味わえない、いい投手だったんじゃないかなと思いますし、まだまだこれからよくなる投手なんだろうなっていう感じには見えましたね。
七回は少しボール自体も落ちてきていたと思うんですけど、ただ、3打席目というところで球筋なりを頭に入れて、タイミングが取れたかもしれない。まぁ、ほんとにちゃんととらえたのは大坪くらいかなと思うけど、でも、結果を出したというところはよかったんじゃないかなと思いますね。
(昨年もドラフト候補だった瀧川、日渡は)悪くなかったと思うので、まだ聞いてないのでわからないけど、いい評価であることを願っています。
(セカンドを守った墳下については)今年、ファーストをやって、ハンドリングみたいなところは去年よりよくなっている。だからサードに戻したときも、去年とはちょっと違う感じに見えるし、セカンドもそこまで練習していない中だけど、硬さはありながらもボールのさばき的な感じは、変な感じには見えないと思う。
最後にそういう守りも見せられたのはよかったかなと思います。いろんな可能性の中で守らせているので」。
■おもな選手のコメント
【大坪梓恩】*七回1死一二塁から痛烈な左安打で敵失を誘う
「1、2打席目、やっぱりまっすぐが速くて、ちょっとタイミングが遅れていたので、3打席目はちゃんと修正できて、ああいう結果になったのかなっていう感じです。タイミングを少し早めにとりました。
打ったのは高めのまっすぐで、147キロでした。(バックスクリーンの球速表示を)見たっす。視界に入ったんで(笑)。
自分はボールを見ていくより振って合わせるバッターなんで、初球から多少ボールであっても振って合わせていくようにしています。
選抜試合は富山の選手と合流するんで、コミュニケーションが取れないと試合にも勝てないんで、最初はどんどん会話して、自分が野球をやりやすい環境を作ってから頑張ろうかなってやっています。
(スカウトが視察しているが)スカウトさんのことは考えない。考えちゃうと結果が出なくなっちゃうんで、あんまり気にせず自分の野球をやろうってことだけを考えています。最近はけっこう(状態が)上がってきているんで、いいと思います」。
【上田大誠】*得点の起点となる安打を含む、チーム唯一のマルチ打&三直を好捕
「(京本投手は)まっすぐとフォークの使い分けがすごくよくて、なかなか打ちにくいピッチャーだと思いました。手元で伸びてくる感じで、今までにないまっすぐだなと思いました。
3打席目は、追い込まれる前にカウントを取りに来たボールを強く叩くっていうのをイメージして入りました。打ったのは、外の厳しめのまっすぐやったんですけど、思いきっていきました。
(笠島投手は)まっすぐでガンガン押してくるピッチャー。少し球の出どころが見づらい感じですが、それはあまり気にせず、なるべく詰まらないようにっていう意識で入ったんですけど、追い込まれている中で変化球にも対応しなきゃいけなかったんで、少し詰まってしまいました。
この選抜試合では、自分の持ち味であるバッティングを思いきって見せられるようにっていうのを意識してやってやっています。(守備も)頑張って、堅実にやるように心がけてやっています」。
【日渡柊太】*1回を1安打2三振、無失点
「初めて(生で)見るジャイアンツのユニフォーム。やっぱり「プロ野球っていったら巨人」みたいなところがあって、そういう面でかっこいいなとは思いました。
先頭(打者)にまっすぐをあれだけパンっていかれたんで、そんなまっすぐが走ってはないんだろうなと思って、次のバッターからちょっと変化球で入るとか、いろいろ変えていきました。球速以上には感じられてないのかなと思って…。
(大差でリードされている展開だったが)やっぱ負けていても最後に僕がちゃんと流れを持ってこれれば、九回裏に勝てるチャンスを持ってこれるんで、そういうことを意識して投げました。ま、点差もちょっとあったっすけどね。
この1年、監督とも話したんですけど、自分は(スカウトに)見せよう見せようとしちゃうタイプだと思うんです。なので、選抜試合だからといってそこは考えず、意識しすぎず、とにかく試合にちゃんと入っていくっていうことだけを考えてやっています」。
【瀧川優祐】*1回1三振1四球、無失点
「今日も、シーズンと同じく自分のピッチングをするだけだなと思ってマウンドに上がりました。
感覚自体は悪くなかったんですが、球場のガンを見たらここ最近で一番出ていなかったんで(この日の球速表示は145。自身の最速は149)、その中で打ち取れるよう工夫して投げました。
いつもよりボールが動いている感じはしていたんで、ゾーンに投げてバッターに振ってもらうことを意識しました。
ジャイアンツ戦だからと特別な意識はないけど、やっぱり目指す場所ではあるんで、そこでしっかり抑えられないとっていう気持ちはありました。でも、いつもどおり投げました。
いつも以上に出そうというよりかは、ずっとやってきていることとか、シーズン中に監督や島崎(毅=投手コーチ)さんと話しながらやっていることを、いつもどおりやるっていうのを意識してやっています。今日も自分のピッチングができたかなと思います」。
【上田楽】*1回1三振、無失点
「自分的にはめちゃくちゃよくて、まっすぐもフォークもしっかり思ったところに制球できたんで、そこが一番よかったかな思います。自信を持って投げられました。(エラーで出塁の)ランナーも(森本)耕志郎がしっかり刺してくれましたし。
ジャイアンツ相手というのは特別意識することなく、しっかり打者に向かって自分のピッチングをするっていうことにフォーカスしたって感じです。
タイガースファンですから試合前はユニフォームを見て、「あ、(宿敵の)ジャイアンツか」っていうのはあったんですけど(笑)、試合が始まったらしっかり投げることができました。
選抜試合も気負いすぎず、自分をアピールするっていうよりかは、やってきたことにすごく自信を持てているんで、それを出すだけかなって思っています。あまりアピールしようというんじゃなくて、やってきたことをしっかり出そうっていうことに集中しているんで、それがいい結果になっているんだと思います」。
■ジャイアンツ3軍戦は明日と明後日も
独立リーガーたちが己の野球人生を懸けて戦う3連戦。その第1ラウンドは、1軍でも活躍する若き右腕にまったく歯が立たず、完敗だった。こういうピッチャーを打ってこそ、スカウトの目も釘づけになるというものだ。投手陣も明暗が分かれた。
だが、戦いは終わったわけではない。まだアピールのチャンスは残っている。
対ジャイアンツ3軍戦、今日20日はボールパーク高岡で午後5時から、そしてラストゲームは明日21日、金沢市民野球場にて正午から行われる。
NPB入りを目指して奮闘する日本海リーガーたちの躍動をぜひ、その目で見てほしい。
(撮影はすべて筆者)
【日本海リーグ選抜試合*関連記事】