手羽元、手羽先、腰肉、ぼんじり…。いろんな部位のからあげを鳥料理専門店『とりなご』で味わってきた
からあげの中でも人気の部位といえば、モモ、ムネ、手羽先、手羽元といったところでしょうか。とくに骨なしモモは食べやすくてジューシー、旨みもたっぷりで大好きだという人も多いことでしょう。しかし最近は骨付きのものや、砂肝、せせり(首)、ぼんじり(尾骨周辺の肉)などいろいろな部位のからあげを提供するお店も増えています。
京都の福知山に本店を置く『鳥料理専門居酒屋 とりなご』はその名の通り「鴨すき」などの鳥料理が専門のお店。もともとは精肉店だったこともあり、鶏肉のことは知り尽くしたお店といえます。今回はこちらの恵比寿店(東京)にお邪魔して、名物のからあげをいただくことにしました。
オーダーしたのは「名物からあげ」(1ピース・440円)。通常は骨付きモモ、手羽先、手羽元、腰肉の4つの部位の中からおまかせで1部位が提供されますが、4ピースお願いするとこれら4部位すべてが味わえます。当然私も「4ピースで!」とオーダー。待つことおよそ20分、揚げたてのからあげが登場です。
定食屋さんのおかずや居酒屋さんのおつまみなどではなかなか味わえない部位がズラリ。「ドラム」とも呼ばれる骨付きモモがセンターにドン!と盛り付けられています。骨付き肉のこのフォルム、なぜか見ただけでワクワクしてしまうのは私だけでしょうか。肉は岩手の銘柄鶏「みちのく味わい鶏」を使用しています。
まずは手羽先とそこにくっついた手羽元からいただきます。小麦粉を使っているという衣はバリザク系食感。その衣を歯が突破すると、旨みがよく溶けだした肉汁が歯にまとわりついてきます。肉はとろりとした歯ざわりと舌ざわり。手羽先部分もこってりとしていて美味。旨みがじわじわと拡散していき、飲み込む瞬間に炸裂する印象です。
骨付きモモは衣に軽く歯を立てただけで肉汁がにじみ出してくる感覚があります。肉が”肉汁まみれ”のようで「プルン!」とした食感。うっかりしていると舌の上をウォータースライダーのように滑ってのどの奥に消えてしまいそう。
「サイ」とも呼ばれる腰肉も、歯が肉に到達した瞬間に、これまたトロッとした旨みの第一撃!手羽先や手羽元よりもさらに濃厚な感じがします。醬油ベースのタレに漬け込み、ニンニクやショウガで味付けしていますが、それらが肉の旨みをまるで邪魔しません。鶏肉本来の旨みを満喫できるからあげです。
そしてもうひとつ、こちらでぜひ味わっておきたいのが「尾唐(おから)」(550円)。ぼんじりのからあげです。これが一度食べ始めると止まらなくなるパターン。歯をやや強めに入れると「ギュッ!」と圧縮するような食感がありますが、それがすぐに「コリッ!」とした歯ざわりに変身します。もともとは捨てていた部位だったそうですが、あるとき試しに揚げてみたら想像以上に美味しかったため、メニュー化したのだとか。これはおつまみ、おやつとしてもいけそうです。
さて「名物からあげ」はいずれも骨付きです。そう聞くと「食べにくそうだなあ…」なんて思う人もいるかもしれませんね。いやいや、鶏肉に限らず、肉は骨付きのほうが美味しいんですよ。骨の中には髄液というものが含まれており、これが旨みのもと。加熱することでこの髄液が周辺の肉にしみ出して美味しさが増すのです。
思い起こせば私の故郷、大分・中津の実家で母が作ってくれるからあげはたいてい、骨付きの手羽元を使っていました。まれに砂肝(現地では砂ずりと呼ぶ)のからあげが出てくることもありましたけど。
※文中の価格は税抜です
【店舗情報】
鳥料理専門居酒屋 とりなご 恵比寿店
■住所:東京都渋谷区恵比寿3-7-3大倉ビル1F
■TEL:03-5420-1075
■営業時間:17:00~23:00(L.O.20:30)
■定休日:不定休
■店舗ウェブサイト:鳥料理専門居酒屋とりなご・公式サイト