【1つのカテゴリーにつき4つまで】子育てカウンセラーが実践する!子どもに守ってほしいルールの伝えかた
子どもに「〇〇しなさい」と注意するのは、言う側も言われる側も疲れますよね。とはいえ、公共の場や家庭内では守ってほしいルールがあり、どのように子どもにルールを守らせるか苦労している親御さんも多いのではないでしょうか。1児の母でもある子育てカウンセラーが実践している「子どもに守ってほしいルールの伝えかた」をご紹介します。
1. ルールが守られない理由を考えてみる
まずはじめに、どうしたら子どもにルールを守ってもらえるのか、子どもの気持ちになって考えてみましょう。いくつかの理由が考えられますが、子どもにとってはそのルールを守る必要性が感じられていない可能性が高いです。わかりやすくいうと、ルールを守るメリットもなければ、デメリットもない状態です。メリットもないのに怒られ、理不尽だと感じているかもしれません。
例えば、集合住宅に住んでおり、子どもの声の大きさや足音などが騒音にならないか心配で「隣の人(下の階の人)に迷惑がかかるから、やめようね」と注意したとします。私たち大人は、起こりうるトラブルを想定したり、周りの目を気にしたり人の気持ちを考えることができますが、子どもにとっては実際に近隣の人に「うるさいです」と注意されない限り、人に迷惑がかかるということを想像するのはまだ難しいかもしれません。そういった場合は、「この前隣の人とお話ししたら、夜9時には寝るから静かにしてほしいみたい」などと、困っている人の対象を明らかにし、具体的にどうすればよいかを考えてみるとよいでしょう。
2. パパとママでルールが違うと子どもは戸惑う
”お菓子はご飯を食べた後のデザート”と決めたのに、「パパがいいって言ってたよ」と言い、ご飯を食べ終わる前にお菓子を食べていたなんてことはないでしょうか。ルールを決めるのであれば、夫婦であらかじめ考えをある程度は合わせておく必要があると思います。パパとママで言っていることが違うと、子どもは当然ながらどちらを信じればよいかわからず、自分にとって都合のいいほうを選ぶようになるでしょう。そもそも本当に必要なルールなのか、夫婦2人が共通してされると嫌な行為は何なのかを考えてみましょう。
食事に関しては、気をつけてほしいマナーが結構あるという人も多いと思います。あまりに気をつけることが多いと、食事そのものが楽しくなくなってしまう可能性もあります。「音を立てて食べるのは、不快だからやめてほしい」というのが夫婦で共通する考えであれば、「食べ物が口の中に入っているときは、口を閉じて噛もうね」などと具体的にどうしてほしいかを伝え、慣れてきたら「次は、お茶碗を持って食べてみようか」などと様子を見ながら、レベルアップをしていくイメージを持つとよいでしょう。
3. 人が思い出せる事柄は4つが限界!?
突然ですが、「マジックナンバー」という言葉をご存知でしょうか。認知科学において、人間が短期的及び長期的に記憶できる数は4つまでということが明らかになっています。これは、人間が1つのカテゴリーに対して完全に思い出せる項目数は4つが最適ということです。地震が起きた際のルールとして、「押さない」「かけない」「喋らない」「戻らない」の頭文字をとった『おかしも』がよい例ですね。
個人差はありますが、年齢が低い場合は思い出せる項目も少ないと思います。また、ルールを決める際は子どもが理解しやすい言葉で考えてみましょう。ルールというのは本来であれば、自分を守るためのものです。 ”人に迷惑がかかる” より、ルールを守ることで "自分を守れる"(怪我をせずに済む、トラブルを避けられるなど)可能性があることを伝えるようにすると、子どもも納得できるのではないでしょうか。
子育てカウンセラーが実際に使っているルールの例
お友達とのトラブルに関するルール
- 自分がやられて嫌なことはしない
- 相手が「やめて」と言ったら、すぐにやめる
- 自分が嫌だと思ったら、はっきりと「やめて」と言う
人としての ”ありかた” にもつながりますが、子どもが友達に対して明確に意思表示ができず、それで子どもが悩んでいる時期に考えたルールです。ポイントとしては、1度子どもに自分ごととして問題を捉え、考える機会を与えることです。人がどう思うかではなく、自分だったらどう思うか。実際にどのように「やめて」と言えば、相手に伝わるかを練習することで、その状況に子どもが直面した際も再現しやすくなると思います。
このルールを考えてからは、子ども自身が「言葉にしたら相手に伝わった」と実感し、以前のように悩むことは減ったようです。人格を形成する幼児期に、人としての "ありかた" を意識することは重要だと考えられます。ぼんやりとしたイメージでも構わないので、自分はどういう人になりたいかを考える機会があってもよいのではないでしょうか。「人の顔色を伺うことなく、自分らしく生きてほしい」「困ったときはお互い様」など、家族で共通する精神や考えを見つけてみましょう。
初めて行く場所や人が多い場所でのルール
- なるべく1人にならないようにする
- 迷子になっても探しに行かない(動き回らない)
- 近くにいるお店の人やスタッフに声をかける
- 一緒に来ていた大人の名前を言う
迷子になったときの対処法として、考えたルールです。「1人にならないためにはどうする?」などと、子どもに方法を考えさせてみましょう。手を繋いで歩く・見たいものがあったら声をかける・トイレに行くときは声をかけるなど、具体的に想像することが大切です。万が一、迷子になった場合はどうするかも話しておきましょう。
迷子になったのが屋外であれば、電話で警察を呼んでもらう。公共の施設などであれば、引率の先生の名前や親のフルネームを伝え、館内放送で呼び出してもらう。シチュエーションに応じて、具体的にどういった行動をとるかを事前に考えておくと、冷静に対応できるのではないでしょうか。出掛ける前や建物の入口などで家族で写真を撮り、今日来ている服装などを記録しておくのも有効です。
さいごに
ルールは、一朝一夕で身につくものではありません。何度も繰り返し、親が手本となって見せることで、子どもも理解できるようになってくると思います。ルールを守れなかったからといって罰を与えるのではなく、ルールそのものを見直し、どうやったら守れるかを考えてみましょう。ルールに縛られることがないよう、必要最低限にとどめることも大切です。