シーズン再開は早くても5月中旬に? CDCがイベント主催者向けにガイダンスを発表
【CDCがイベント主催者向けガイダンスを発表】
3月12日のMLBオープン戦6試合を最後に、新型コロナウイルスの拡散拡大のため米国の人気スポーツがすべて活動を中断した。こんな現象は、2001年に起こった9・11同時多発テロ以来のことだ。
ただ9・11の際は目に見えるテロリストの戦いであり更なるテロを抑えることができたが、今回は目に見えないウイルスと対峙しており、明確な対抗手段もなく、今も米国内に感染が広がっている。そのためリーグ再開の目処も立ちにくい状況だ。
そんな中アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が3月15日、イベント主催者向けに新型コロナウイルスに関する臨時ガイダンスを発表した。
【今後8週間はイベントの中止もしくは延期を推奨】
ガイダンスによれば、改めて人々が集まるスポーツイベント、会議、コンサート、フェスティバル、パレードなどは新型コロナウイルス拡散の原因になるとし、今後8週間は50人以上が集まるイベントの中止もくしは延期を推奨している。
このガイダンスは決して強制力があるものではないが、担当政府機関が示したものであり、今後各リーグはこのガイドラインをベースにシーズン再開を検討していくことになりそうだ。
ガイダンスに従えばイベント開催できる環境を整えるのは早くても5月中旬になるため、必然的に2週間の開幕延期を決めていたMLBや、1ヶ月のリーグ中断を表明していたNBAなどは、更なる検討が必要になった。
ESPNのエイドリアン・ウォナロウスキー記者によれば、このガイドラインを受け、NBAでは6月中旬に無観客試合でシーズンを再開する案が浮上していると報告している。
【球場、アリーナで働くパートタイマーの金銭補償が重大な関心事に】
シーズン再開が遅れることになれば、各リーグに与えるダメージは確実に大きくなっていくわけだが、それ以上に苦しい立場に追い込まれるのがスポーツイベントの際に球場、アリーナで働くパートタイムのスタッフたちだ。
例えばNBAのレイカーズ、クリッパーズとNHLのキングスが本拠地にするステイプルズセンターは、各チームの試合が開催されるだけでなく、人気アーティストのコンサートや各種イベントの会場としても利用されている人気アリーナだ。そうした各種イベントが開催される度に、約2800人のパートタイムのスタッフが働いているのだが、彼らは現在無収入の状態に置かれている。
これはステイプルズセンターに限らず、すべてのプロリーグの試合が開催されている球場、アリーナでは1000人以上規模のパートタイム・スタッフが従事しており、彼らはすべて収入源を奪われている。
【チームや選手たちが救済を表明】
これを受け、チームや選手たちが次々に救済の手を差し延べようとしている。
例えばNBAのウォリアーズは、チーム、コーチ、選手が総額100万ドルを拠出し、パートタイム・スタッフへの金銭補償に充てることを発表している。
またNBAのケビン・ラブ選手(キャバリアーズ)、ザイオン・ウィリアムソン選手(ペリカンズ)やMLBのジョージ・スプリンガー選手(アストロズ)らが、個人で援助することを明らかにし、またトレバー・バウアー投手(レッズ)は金銭補償を行う基金設立を表明している。
いずれにせよ、今後8週間はシーズン再開が困難となった米国スポーツ界が引き続き厳しい状況にあることに変わりはない。