西日本を中心に強い寒気の南下と、遅ればせながら台風17号がフィリピンの東で発生へ
西日本へ強い寒気の南下
12月16日は、低気圧や前線の影響でくもりや雨の所が多くなったものの、南から平年より暖かい空気が流れ込み、日差しが届いた関東地方では、この時季としては気温が高くなり、千葉県横芝光町では26.2度を観測し、最高気温25度以上の夏日となりました。
しかし、全国の夏日は9地点(気温を観測している914地点の約1パーセント)と、前日、15日の44地点(約5パーセント)より大きく減りました。
これは、西日本を中心に強い寒気が南下してきたためで、黄海には、早くも強い寒気の南下を示す筋状の雲が出始めました(図1)。
同じ西高東低の冬型の気圧配置でも、等圧線の間隔が狭い所は広い所よりも北西風が強く、強い寒気が南下します。
12月16日の地上天気図を見ると、九州付近で等圧線の間隔が混んでおり、今回の強い寒気の南下は西日本から始まることを示しています。
17日は西高東低の冬型の気圧配置が強まり、日本海側は広い範囲で雪が降る見通しで、西日本の平野部でも雪が積もる可能性があります。
北日本から北陸では、最大瞬間風速35メートル以上の暴風が予想され、北海道の日本海側から新潟県までの山沿いでは、70センチ以上の降雪の見込みです(図2)。
初冬に大雪が降るときは、雪に対する備えが不十分なことが多く、毎年のようにノーマルタイヤの車が立ち往生し、後続のスノータイヤなどを装着した車を巻き込んだ大渋滞が発生したニュースが報じられます。
また、0度に近い気温での大雪ですので、電線や樹木に着雪しやすく、被害の拡大が考えられます。
このため、初冬の大雪は、真冬の大雪より大きな被害が発生することが珍しくありません。
北陸から北日本の日本海側では大雪や猛ふぶきとなるおそれがあり、交通障害、暴風や高波などに警戒してください。
日本は冬本番を迎えていますが、日本の南海上では台風17号が発生しそうです。
台風17号の発生か
昨年、令和4年(2022年)はラニーニャ現象の最中でしたが、台風の発生数はほぼ平年並みの25個で、発生位置は北東にずれて発生していました。
このため、日本近海で発生する台風が多くなり、台風が発生するとすぐに日本に影響したということが多々ありました。
エルニーニョ現象が発生した令和5年(2023年)は、現時点までに台風は16個ですが、発生位置は平年より南東にずれて発生していました(図3)。
そして、平年であれば11月末までに24個位発生していますので、今年はこれまで、台風の発生数がかなり少ないということができます(表1)。
気象庁は、昭和26年(1951年)以降の台風について統計をとっていますが、それによると、11月末までで一番少なかったのは平成22年(2010年)の14個です(表2)。
そして、今年、令和5年(2023年)は16個と、歴代3位の少なさでした。
現在、フィリピンのミンダナオ島の東海上には台風に発達しそうな熱帯低気圧があります。
台風が発生すれば、台風17号です。
そして、そのはるか東のマーシャル諸島でも熱帯低気圧が発生する見込みです(図4)。
昭和26年(1951年)以降、昨年(2022年)までの72年間で、12月に発生した台風は平均1.15個しかありません。
ほとんどの年が1個前後の発生です(図5)。
最多でも、昭和27年(1952年)の4個であり、12月後半に最多タイの4個発生したとしても、台風の年間発生数は20個どまりであり、平年の発生数25.1個に大きく届きません。
令和5年(2023年)は、台風発生が少なかった年に確定しそうです。
台風17号(?)の進路予報
筆者は、過去に12月の台風について調査したことがありますが、ほとんどの台風は、北緯10度位の低緯度を西進して、日本への影響はまずないと考えられます(図6)。
また、マーシャル諸島で熱帯低気圧が発生し、これが台風に発達して北上した場合も、小笠原諸島に接近する可能性は少ないと思われます。
現在、ミンダナオ島の東海上の熱帯低気圧は、台風17号に発達したあと、統計通りに西進し、ミンダナオ島に上陸する見込みです(図7)。
熱帯低気圧周辺の海面水温は29度以上あり、台風が発生・発達する目安とされる27度を大きく上回っています。
日本は冬本番を迎えていますが、日本の南海上ではまだ夏が残っています。
タイトル画像、図1、図2、図7の出典:ウェザーマップ提供。
図3、図5、表2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者加筆。
図6の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。
表1の出典:気象庁ホームページ。