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韓国では不可能。KARAや少女時代も「夢だった」TWICEドームツアーの“凄さ”とは

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
TWICEのメンバーたち(写真:アフロ)

3月20日の京セラドーム大阪公演を皮切りに、日本でドームツアーをスタートさせているK-POPガールズグループのTWICE。

『TWICE DOME TOUR 2019 “#Dreamday”』と題されたツアーでは、京セラドーム大阪と東京ドームでそれぞれ2公演、ナゴヤドーム1公演の3カ所5公演で、約21万人を動員するという。

チケットは一般販売開始からわずか1分で完売し、3月20~21日の京セラドーム公演も大盛況となった。

韓国の女性アイドルグループが日本でドームツアーを行うのは、TWICEが史上初めて。デビューから東京ドーム進出までの期間は、海外アーティスト史上最短だという。

「美しい顔100人」に選出

そもそもTWICEは、2017年6月に日本デビューを果たして以来、若者を中心に絶大な支持を集めてきた。“第3次韓流ブーム”とも呼ばれるK-POP人気の火付け役になったのが、ほかならぬTWICEだ。

昨年末には、NHK紅白歌合戦に2年連続で出場したことも記憶に新しいだろう。毎年恒例となっている「世界で最も美しい顔100人」にも、メンバーが多数ランクインして注目された。

(参考記事:【PHOTO】「世界で最も美しい顔100人」発表。韓国芸能界から選ばれた美女、一挙全公開!!

また3月6日にリリースしたセカンド・ベスト・アルバム『#TWICE2』もオリコン週間アルバムランキングで1位に輝くなど、その人気と知名度は高まるばかりだ。

彼女たちが日本で人気を集めている一因には、日本人メンバーの存在もあるだろう。

韓国で増える日本芸能人

周知の通り、TWICEの9人のうちミナ(名井南)、サナ(湊崎紗夏)、モモ(平井もも)の3人は日本人だ。昨今、日本の芸能人たちが多く韓国で活動しているが、彼女たちは韓国で練習生時代も過ごしている。AKB48グループとしてすでに芸能人として活動し、韓国で再デビューを目指す高橋朱里や竹内美宥とはまた違ったパータンだ。

(参考記事:“清純のアイコン”に“次世代セクシーアイドル”も。韓国で活躍する日本芸能界の美女たち

なぜ、韓国側はデビュー前から彼女たちの面倒を見て育ててきたのか。それは韓国の音楽市場が日本と比べて小さく、「K-POP海外収益の比重で日本は全体60%以上を占める」(『スポーツワールド』)といわれるなか、日本人メンバーを加入させることで日本市場を攻略するためとされている。

昨今は韓国で活動する日本芸能人も増えており、「あだち充の漫画に出てきそうな清純なビジュアル」とされるYUKIKA(寺本來可)などK-POPアイドルも目立っているが、TWICEの場合は当初から“韓国発・日本進出”を狙っていたケースだと韓国ではいわれている。

そんなコンセプトもあって日本で支持され、人気を広げるなかで実現したのが今回のドームツアーであるわけだが、ドームツアーはTWICEメンバーたちにとっても特別なものだろう。

韓国では実現不可能

というのも、日本と比べて韓国は大規模なコンサート会場が少ない。

唯一のドームである高尺(コチョク)スカイドームも、最大収容人数は2万5000人と、その規模は東京ドームの半分にもならない。TWICEは韓国でもツアーを行ってきたが、韓国で日本のドームツアーと同規模の公演を行うことは不可能といえるだろう。

それだけに日本のドーム会場で行うコンサートは、K-POPアイドルにとって夢のステージでもある。

振り返れば2013年にはKARA、翌2014年には少女時代が東京ドーム公演を開催。昨年末にはBLACKPINKが京セラドーム大阪でコンサートを開いたが、いずれも大きな話題になっていた。

筆者もかつて、KARAのメンバーたちに東京ドーム公演について直接話を聞いたことがある。現在は事実上の解散状態となってしまい、最近はク・ハラの“リベンジポルノ騒動”などスキャンダルもあったKARAだが、彼女たちも東京ドーム公演の感動は忘れられない様子だった。

例えば、「東京ドーム……。本当に私たちがこのステージに立っているんだなと、すごく感慨深い感情がこみ上げてきました」としみじみと語っていたのはジヨンだ。

スンヨンも「わたしが中学生の頃、描いていた大きな舞台に立つという夢が東京ドームで叶いました」と話していたのが印象に残っている。

そんなK-POPアイドルたちが夢見るドーム公演のみならず、単発ではないドームツアーまでも実現させたのがTWICEなのだ。

TWICEは今年1月に行われた韓国最大級の歌謡祭「ソウル・ミュージックアワード」で本賞に輝くなど、韓国での人気も健在だが、ドームのステージに立つことを夢見てきたというメンバーたちにとって、今回のツアーは格別なものであるに違いない。

(参考記事:TWICEのレッドカーペットから舞台裏、ステージまで。独占写真で見る「ソウル・ミュージックアワード」

いずれにしても、ツアーは4月6日のナゴヤドーム公演まで続くが、韓国メディアも「ドームツアー開催のTWICE、K-POPワントップ・ガールズグループの位相を示す」(『ニュースピム』)などと注目しているなか、韓国ガールズグループが史上初めて行うドームツアーは、日本や韓国の音楽界やK-POPファンたちにどんな反響を呼ぶだろうか。引き続き注目していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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