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上西小百合議員の炎上商法を退けたレッズの“大人な”対応

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
上西議員はSNS上の炎上を政治活動に利用しているとしか思えない

 今回レッズ及びサッカー・ファンを愚弄するかのようなツイートで炎上した挙げ句、レッズ・ファンとの直接対話の場を要求してきた上西小百合議員に対し、レッズは彼女との面会を辞退したということだ。彼女のいわゆる炎上商法に巻き込まれる必要はなく、レッズの対応こそが大正解というべきだろう。

 これまで上西議員が何度炎上しようが、興味もなければ関心もなかった。だが自分が長年携わり、愛してきたスポーツ界に矛先が向けられたのであれば話は別だ。初めてツイッターの公式アカウントを閲覧し、一連の騒動をネットでチェックさせてもらった。そこで結論に至ったのが、上西議員が如何に否定しようとも、SNS上の炎上を巧みに利用し彼女の政治活動に繋げているのが明らかな以上、炎上商法以外の何ものでもない、ということだ。

 今回も自分のツイートが炎上した途端、周囲の反応ツイートを次々にリツイートし、さらには220万という自らのツイートの反応度を報告するなどして騒動の拡散を狙っている。その上で「浦和で街頭演説をやりたい」とか「レッズ・ファンと直接対話しないと解決できない」などと主張することで、メディアと人々の関心が集まる中で自分の意見を披瀝する場を設けようとしているのだ。もしそれが実現できれば、政治家として下手な集会を開催するよりも影響力絶大な発言機会を容易に得ることができてしまうのだ。紛れもなく政治活動の一環と言っていいだろう。

 しかし今回の一連のツイートを見てもわかるように、上西議員はものの本質を見抜く能力がなければ、最適な言葉を選ぶ知性にも欠けている。そんな人物に発言する場を与えても何の意味もない。レッズ・ファンと直接対話しても火に油を注ぐだけだ。今回のレッズのように関わらないようにするのが得策なのだ。レッズ・ファン、サッカー・ファンも彼女のやり口に応じる必要は無い。SNS上のことはSNS上でやりとりすればいいだけの話なのだ。ましてや殺人予告やカッターナイフを送りつけるのは以ての外だ(もちろんサッカー・ファンがやった行為だとは思っていないが…)。

 スポーツは極上のエンターテイメントの1つだと思っている。誰もが様々な観点から楽しんでいいものだ。そういう意味では上西議員もどんな意見であろうと主張していいし、他のファンと議論を戦わせても一向に構わない。だが姑息な手段で自分の政治活動にスポーツを利用するのは断じて許すことはできない。

 そもそも上西議員に容易に主張の場を与え続け、こんな手法の政治活動を編み出させてしまったのはメディアの責任もあるだろう。彼女が炎上を繰り返す度に面白がって追いかけるから、増長してしまったように思えて仕方がない。

 今後上西議員の炎上商法をスポーツ界に拡散させないためにも、チーム、選手、ファンを含めレッズのような冷静で大人な対応で臨むべきではないか。SNS上以外で彼女に応対する必要はまったくないのだ。自分もこれを最後に関わるつもりはない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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