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緊急事態宣言下の北海道、カーリングミックスダブルス日本選手権は予定どおり続行へ

竹田聡一郎スポーツライター
無観客での開催となったが大きな混乱なく進行(著者撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、鈴木直道北海道知事は28日夕方、緊急事態宣言を発令した。

 札幌市の「どうぎんカーリングスタジアム」で4日目を迎えた第13回全農日本ミックスダブルスカーリング選手権大会は開幕前に無観客試合が決定しながらも、28日までに予定された55試合を無事に消化している。

 だが、大会を主催する日本カーリング協会はこの緊急事態宣言を受ける形で28日夜、「北海道知事による緊急事態宣言を受けた第13回全農日本ミックスダブルスカーリング選手権大会の対応についてのお知らせ」という発表を大会特設HPで配信した。

 それによると「本大会は2022年北京冬季オリンピック代表候補の選考を兼ねた大会であること、また大会優勝チームが参加予定の2020年世界ミックスダブルスカーリング選手権大会(カナダ・ケロウナ)は2022年北京冬季オリンピックの出場ポイントのかかった大会であること」という理由から、29日の予選の残り8試合とタイブレーク、準々決勝、1日の準決勝、決勝など週末に行われる計17試合を予定通り敢行する方針のようだ。

 開幕から選手や運営スタッフ、ボランティアやメディアにマスクの着用と手指のアルコール消毒を促し、入場時には検温も実施。37.5分以上が測定された場合は入場を自粛してもらう措置を取るなど、無観客ながらも慎重に大会は進行していた。

 それらを継続しながらも、週末に向けてはメディアの数を制限する要請をマスコミ各社に出し、運営ボランティアの数も最小限まで減らす。担当者によれば「携わる人員を極力、削ることでリスクを減らしたい」と、大会縮小に務めつつ2022年北京五輪出場に繋がるこの大会をなんとか完走する構えだ。

 プレーオフ進出が決まったある選手が語る。

「こんな状況ですから(試合を)やってもやらなくても、どんな決断をくだしても賛否は出てくると思う。だから試合ができるならいいゲームをするだけです」

 その一方で、2週前に軽井沢で開催された4人制のカーリング、「第37回全農日本カーリング選手権大会」を制したロコ・ソラーレの周辺も慌ただしくなってきた。

 ロコ・ソラーレは3月14日からカナダ・ブリティッシュコロンビア州プリンスジョージで開催される世界選手権に日本代表として出場する。当初はこのミックスダブルス終了後、準備を整えてから出国する予定だったが、一連の感染拡大を受け急遽、スケジュールを繰り上げることになった。

 1日のミックスダブルス決勝を終えてすぐ新千歳空港に直行し、東京経由でカナダへ。今季、カナダ遠征時に拠点としていたカルガリーで1週間ほど事前合宿を張って、当地に向かうことになった。

 開幕前の会見で、今大会の優勝候補である「藤澤 山口」の藤澤五月(ロコ・ソラーレ)は「(無観客開催は)残念ですが選手、スタッフ、観客の健康面を考えると仕方ない。私たちが元気でプレーすることが大事」と語ったが、その言葉どおり選手の健康ありきで、質の高いカーリングを見せて欲しい。そして世界と互角以上に戦う姿で、日本中を勇気づけてほしい。切に願う。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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