新型コロナの流行が続く今シーズン、インフルエンザは流行るのか
昨シーズンは新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されましたが、結果としてインフルエンザの流行はほとんどみられませんでした。
今シーズン、インフルエンザは流行するのでしょうか?
2020年1月以降、日本国内のインフルエンザは激減
2020年1月に日本国内で最初の新型コロナウイルス感染症の患者が報告されて以降、インフルエンザの報告数が減少しました。
例年、日本国内では1月〜2月にインフルエンザの報告数はピークを迎えます。
2020年のピークは例年と同様1月〜2月でしたが、報告数は例年よりも大幅に少なく、過去に例を見ない「インフルエンザの少ない年」となりました。
なぜインフルエンザは激減したのか?
この傾向は海外でも見られており、新型コロナウイルス感染症の流行以降、インフルエンザは世界中で激減しています。
WHOの報告では、世界においても2020年の第5週をピークにインフルエンザ患者は減少しており、第15週以降はほとんど報告されていません。
ではなぜインフルエンザは世界中でここまで激減したのでしょうか。
誰もが想像している通り、新型コロナの流行が関係していると考えられていますが、特定の一つの要因というよりは複数の要因に起因しているのではないかと考えられています。
新型コロナへの感染対策として行われたマスク着用、ソーシャル・ディスタンス、手洗いはインフルエンザにも有効であることから、インフルエンザの抑制にも繋がったと考えられますし、海外旅行をする人も激減したことから日本に持ち込まれるインフルエンザウイルスが少なかったことも要因として挙げられるでしょう。
2020-2021シーズン インフルエンザは流行するのか?
日本でのインフルエンザ流行を予測する上で参考になるのは、現在冬を迎えている南半球です。
例えば、オーストラリアでは例年5月〜10月にかけてインフルエンザが流行しますが、2020年と同様に、2021年もインフルエンザ報告数は極めて低い水準が続いています。
他の南半球の国々でもインフルエンザが流行しているという報告はないようです。
これまでは、その年のオーストラリアでのインフルエンザの流行が、半年後の日本でのインフルエンザの流行のパターン(主流となるウイルスの種類など)と類似していたことから、日本でも次の2021-2022シーズンはインフルエンザが流行しないという予測はできるのかもしれません。
しかし「今年もきっとインフルエンザは流行らないからワクチン接種しなくて大丈夫でしょ」と判断するのは危険です。
RSウイルスの大流行はなぜ起こったのか?
インフルエンザと同様に2020年にはほとんど流行がみられなかったRSウイルス感染症が、2021年は爆発的な流行を起こしました。
これは日本だけでなく、海外でも同様の流行が見られています。
その理由として、2020年にRSウイルスが流行しなかったことで、RSウイルスに免疫を持つ人が減っていたことが挙げられます。
RSウイルス感染症は、通常2歳までの間に一度は感染しますが、今年の流行では2歳以上のRSウイルス感染症患者の割合が増えていることが示されており、新型コロナ流行中にRSウイルスに免疫を持たない子どもが増え、今シーズンの大流行に繋がったと考えられます。
インフルエンザの大流行に備えて今シーズンもワクチン接種を
日本では2019-2020、2020-2021という2つのシーズンでインフルエンザの大きな流行がみられませんでした。
つまり、2年間に渡りインフルエンザに対する免疫を持たない人が増え続けていることになります。
次にインフルエンザが流行する際は、これまでのシーズンを大きく上回る大流行になる可能性があります。
それがいつになるのかは分かりませんが、インフルエンザの流行に備えて今シーズンもインフルエンザワクチンを接種することが推奨されます。
海外で検討されている新型コロナワクチンのブースター接種が日本でも行われることになれば、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの接種時期がかぶることになります。
日本では現在も新型コロナワクチンを接種する場合は他のワクチンと2週間間隔を空けることになっています。しかし、これには科学的な根拠があるわけではなく、アメリカではすでにこの2週間ルールを撤廃しています。
新型コロナのブースター接種とインフルエンザワクチン接種をスムーズに行えるように、日本でもこの「他のワクチンと2週間の間隔を空ける」というルールをなくすことが望まれます。