潜水避航型の戦闘支援型多目的USV(無人水上艇)を自衛隊が開発研究
8月31日、防衛省から来年度防衛予算の概算要求が発表されました。「防衛力抜本的強化の進捗と予算」-令和6年度概算要求の概要-(PDF)
いくつか初めて判明した内容がありますが、中でも驚いたのが「戦闘支援型多目的USVの研究(245億円)」です。USVとは無人水上艇を意味する略語です。
対艦ミサイルを発射可能な戦闘型無人水上艇の研究開発です。イメージ絵はまるで新型のステルス巡航ミサイルのような形状の船体に潜水艦のセイル(艦橋)のようなものが付いています。USV(無人水上艇)とありますが潜水可能型でしょうか? 純粋な水上航行型の船体ではありません。ただし詳しい説明が概算要求には書かれていないので、後日に発表されるであろう「事前の事業評価」の評価書を待つ必要があるでしょう。
追記→令和5年度事前の事業評価より:日本版幽霊艦隊計画:潜水避航を行う戦闘支援型多目的USV(無人水上艇)
なお昨年から防衛省防衛装備庁が「潜水避航型USV技術に関する情報提供企業の募集」を出していたので、正体がおそらくこれのことになります。
戦闘支援型多目的USVは船体の形状や操舵翼などから、半潜水型というよりは一時的に完全に潜水する方式の可能性が高そうです。そうなるとかなりUUV(無人水中艇)に近いUSV(無人水上艇)であるかもしれません。
このイメージ絵は、過去2010年にフランスDCNS(現ナバル)が発表した「SMX-25」というコンセプトによく似た形状です。SMX-25は有人潜水艦ですが水中10ノット・水上38ノットという、普段は水上を走って必要な時だけ一時的に水面下に潜るものでした。船体形状は半潜水型かつ完全に潜水も可能という方式です。
フランスDCNS(現ナバル)のSMX-25との比較
戦闘支援型多目的USVとSMX-25は船尾の舵の構造がどちらもX字状で、水上航行中は上部の2枚は完全に水上に出てしまい意味が無く、完全に水中に潜って初めて意味が生じます。SMX-25が一時的に完全に潜水するコンセプトである以上、戦闘支援型多目的USVも同様であると考えられます。