グーグル「ベルリンでユダヤ人を救ったエジプト系の医者」122回目の誕生日を祝してDoodleに
アラブ系で初の「諸国民の中の正義の人」
Googleでは検索サイトのロゴを祝日や記念日、有名人の生誕などを祝うために独自のデザインでアレンジしている、いわゆるDoodle(ドゥードゥル)が日本でもお馴染みだ。2023年7月25日にはエジプト出身で、ドイツに移住して医学を勉強していた医者ムハンマド・ヘルミー氏の誕生日を祝したDoodleが掲載されていた。
ムハンマド・ヘルミー氏は1901年7月25日にスーダンで生まれた。ムハンマド・ヘルミー氏の父はエジプト人で、母はドイツ人で1922年にドイツのベルリンに移住して医者として活動していた。生きていたら2023年で122歳になっていた。
第二次世界大戦時にナチスドイツが支配下の地域でユダヤ人を差別、迫害して約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らを殺害した、いわゆるホロコースト。ナチス・ドイツが政権を握った1933年以降にドイツではユダヤ人を差別・迫害していた。ムハンマド・ヘルミー氏はそのようなドイツで多くのユダヤ人の友人や患者らをナチス政権には内緒で匿って助けていた。ムハンマド・ヘルミー氏自身は1982年に死去してしまっているが、2013年3月にイスラエルのヤド・バシェムはムハンマド・ヘルミー氏のユダヤ人を救った功績をたたえて「諸国民の中の正義の人」を授けた。アラブ系の人が「諸国民の中の正義の人」を受賞したのはムハンマド・ヘルミー氏が初めてだった。
イスラエルにはホロコースト犠牲者を追悼したヤド・バシェムという博物館がある。ヤド・バシェムでは約480万人のホロコースト犠牲者のデータベースがあり、それらは世界中からネット経由で閲覧することもできる。約600万人のユダヤ人が殺害されたが、残りの120万人は名前が判明していない。第2次世界大戦が終結して約80年が経過し、ホロコースト生存者の高齢化が進んできた。生存者が心身ともに健康なうちにホロコースト時代の経験や記憶を証言として動画で録画してネットで世界中から視聴してもらう「記憶のデジタル化」が進められている。ヤド・バシェムでは、ムハンマド・ヘルミー氏の貴重な写真や情報も掲載している。
Googleではホロコースト時代にユダヤ人を救った多くの人々を今までにもDoodleに掲載して祝福してきた。
▼ムハンマド・ヘルミー氏の紹介動画(世界ユダヤ人会議)