三浦貴大「参加した作品が面白くなれば、そこで自分の役者人生が終わってもいいと、いつも思っています」
ひとつのストーリーを三浦貴大<TOSHIRO SIDE>と剛力彩芽<AKIKO SIDE>、2つの視点で描く
三浦貴大×剛力彩芽が共演する注目のドラマ『彼女のウラ世界』が、3月22日よりフジテレビTWOでスタートし、話題だ。このドラマは三浦演じる西村敏郎の視点で描かれる<TOSHIRO SIDE>をフジテレビTWOで、剛力演じる近藤明子の視点で描かれる<AKIKO SIDE>をひかりTVチャンネルで、各5話をリレー方式で放送する。この作品は、昨年『東京カレンダーWEB』で連載され、大きな反響を呼んだ人気小説のドラマ化で、監督は映画『南瓜とマヨネーズ』の冨永昌敬。
ストーリーは――制作会社でテレビドラマのディレクターとして働く西村敏郎は、3年付き合っていた明子にプロポーズ。しかしその翌日、明子は婚約指輪を残し忽然と姿を消してしまう。敏郎は明子の行方を捜すために、インスタグラムから情報を収集していくが、そこで目にしたのは、敏郎を陰で支える慎ましやかな女性・明子ではなかった。彼女の真実のストーリーを追いかけていくうちに、敏郎の本性もあらわになっていく――。
「敏郎はプライベートでは近くにいないで欲しいタイプ(笑)。でも自信家の部分は羨ましい」
主演の三浦にこのドラマの見どころ、そしてコロナ禍での表現者としての向き合い方などをインタビューした。
「台本を読んでまず感じたのは話の展開に引き込まれて、<TOSHIRO SIDE>と<AKIKO SIDE>があるので、敏郎目線ではわからない部分を明子目線で教えてくれるので、最後まで飽きずに観ていただけると思いました。それと、敏郎という男とは友達になりたくないとまず思いました(笑)」
敏郎は仕事への意識は高いが、考え方は昭和のままで男尊女卑の傾向があるという自覚はない。これまでの人生はトントン拍子で、自分には全て揃っていると思っている。
「敏郎は僕とは全く違う種類の人間だと思いますが、羨ましいなと思う部分はすごくあって。それは自分の能力に対して、もしかすると勘違いかもしれないけど、しっかりと自信を持っているところ。1話で敏郎が自分のことを<彼女にとっては俺は最高の男で、仕事も学歴も、顔は自分では言わないけど、俺って全部揃っちゃってるじゃないですか>って真剣に言ってしまうところが、本当にプライベートでは近くにいないで欲しいタイプって思いました(笑)。僕自身はどちらかというと、できないことの方が多いタイプなので、何かやろうとしてもどうせできないだろうって、あきらめが先に出てきてしまいますが、敏郎は『俺はできるはず』と思うと思うので、そこは羨ましい部分です」。
「役はその年齢よりも、精神年齢みたいな部分を捉える方が重要」
明子が突然失踪し、戸惑い、慌てふためく敏郎は「彼女のこと何も知らないんだね」と言われてしまう。明子のことを理解していると「勘違い」していた敏郎。彼女のアイデンティティは、敏郎の物差しで勝手に作り上げた幻想でしかなかった。しかし時すでに遅し。だが敏郎は彼女の“ウラの顔”に迫っていく。三浦はこれまで演じてきた役から、どちらかというと好青年のイメージが強いが、敏郎は明子に執着し、徐々に本性を表していき、壊れていく“危険”なタイプだ。三浦と敏郎は歳が同じだ。もし同じ状況に遭った時、三浦はどうすると思うのか聞いてみると――。
「敏郎は明子のことをそれまで知らなかった分、いなくなってしまうとよりわからくなって、同時により知りたくなって、それが狂気につながっていくのだと思います。もし実際に彼女が突然いなくなったら、僕は敏郎とは違って、性格的にはつなぎ止めようとかではなくて、ただただ心配なので、後日事情を説明してくれたら、そういうことねって納得できると思います。事情だけは聞いておきたい(笑)。このドラマの全体を通して感じることは、もうちょっとお互いにコミュニケーションを取ろうよということです。全部敏郎のせいだとは思いますが、難しい事情はあるにせよ、明子も明子でちゃんと話せばいいじゃんって思うところもたくさんあるし、敏郎も敏郎で聞けよって思うところもたくさんあります。自分と同じ年の役を演じるのも、違う世代の役を演じるのもどちらも面白いです。実年齢というよりは、その人の精神年齢みたいな部分を捉える方が重要だと思っています。例えば会社員の役をやるとなると、年齢によって立場がどんどん変わっていくので、そこはすごく意識しますけど、それ以外はあまり役の年齢を気にしたことがないです」。
明子を演じる剛力彩芽とは久々の共演になる。
「剛力さんは4年前に一度兄妹役でご一緒させていただいていますが(Amazon Originalドラマ『フェイス サイバー犯罪特捜班』)、変わらずすごく明るいので、現場が華やぎます。彼女の芝居がナチュラルで大好きなので、一緒に芝居をしていても明子だなって感じが僕はずっとしていて、剛力さんがとてもいい人なので、よく敏郎みたいな男と付き合ってたなって思います(笑)」。
「何かを支えるポジションにいる方が好き。自分のことは見えていなくても、作品が面白くなればそれでいい」
現在35歳。30代の役者としての理想像は具体的にあるのだろうか。
「こうあるべきだっていうのはないですが、こうありたいというものはあります。何かを支えるポジションにいる方が好きです。もはや自分のことは見えなくてもよくて、埋もれて、誰にも注目されていない、この芝居をやったら絶対注目されないということをやっても、その作品がよくなればいいというタイプです。本もすごく面白くて、これは絶対面白くなると思ったものが面白くなれば、そこで自分の役者人生が終わってもいいと思いながらいつもやっています」。
「こういう状況になって、改めてその時その時で自分が一番面白いと思うことをやろうと思った」
コロナ禍で、役者として“表現するということ”について、その心持ちに大きな変化はあったのだろうか。
「役者って受ける側で、自分で何かを作る側ではないので、ゼロから1を作り出すことはなくて、元々ある本を読んで、1を2とかにする仕事なので、そうなってくるとできることがないなと思いました。もちろん映画やドラマをやっている時は、観ている人に楽しんでもらえるものを作りたいと思っていますが、STAY HOMEになって、テレビに出ている有名人もサラリーマンも、子供もみんな家から出られないという同じ状況になった時は、やっぱり自分のことをちゃんと考えた方がいいなって思いました。自分の人生をしっかり考えて、自分が今一番楽しいものはなんだろう?って改めて考えて、その時は答えは見つからなかったですけど、その時その時で自分が一番面白いと思うことをやろうとは思いました。コロナという状況もそうですが、去年は僕の近しい人や知っている方が亡くなったりして、色々と考えさせられました。そういう時に自分が表現者とは一度も思ったことがなくて、僕は仕事をしているという感覚なんです。人生は仕事だけではないし、自分がやっていて楽しいことができればな、と思うようにはなりました」。
理想の結婚相手
明子には婚約破棄された敏郎だが、三浦が理想とする結婚像、相手はどのようなものだろうか。
「今回この役を演じてみて、当たり前ですが、結婚するんだったら付き合っている時から、しっかりコミュニケーションをとった方がいいなって思いました(笑)。理想としてはお互いの時間というか、趣味を認めてくれる人、認め合える人がいいなって思います。アイドルに夢中になったり、漫画を読んだり、ゲームをやっていても、もちろんやりすぎたら怒られて当たり前だと思いますが、『今は趣味の時間なのね』って言って、放置してくれる人がいいです(笑)」。