岡﨑太一監督、無念…。率いる石川ミリオンスターズは「グランドチャンピオンシップ」初戦に敗れる
■グランドチャンピオンシップ
堂々と、戦った。
日本海リーグの代表として、石川ミリオンスターズナインは、全力を出しきった。
独立リーグの日本一決定戦である「グランドチャンピオンシップ」。今年は栃木ゴールデンブレーブス(ルートインBCリーグ)のホームグラウンド、小山運動公園野球場で開催され、石川は初日の初戦(準々決勝)で愛媛マンダリンパイレーツ(四国アイランドリーグplus)と相まみえた。
幸先よく先制した石川だったが逆転を許し、そのまま追加点を奪えず敗れた。しかしミリスタナインは精いっぱい躍動し、はるばる石川県から訪れた応援団の前で胸を張った。
■vs愛媛マンダリンパイレーツ(9月27日@小山運動公園野球場)
◆ランニングスコアとバッテリー
石川:000 200 000=2 H4 E1
愛媛:000 003 10×=4 H9 E1
石川:香水、北浦、村井―森本
愛媛:山田、羽野、廣澤、立本―矢野
◆試合経過
《表》
一回、先頭の阿部大樹がセカンド内野安打で出塁するも、自慢の足を封じられ、3人で終わる。
二回、三回と三者凡退が続くが四回、阿部のライトへの二塁打と暴投で1死三塁から吉田龍生の一塁への当たりがエラーを誘い、1点先制。
大誠の右安打で吉田が三塁を陥れて一、三塁。続く川﨑俊哲のライトへの犠飛で2点目を挙げる。
五回から七回は相手の好守備が連発し、パーフェクトに抑えられる。
八回、1死から東晴登が149キロをとらえて右越えの二塁打。しかし後続を抑えられ、九回は代打に宮澤和希を送るも、三者連続三振に斬られた。
《裏》
一回、2番打者の中飛にセンター・阿部はレフト・路真と交錯したが、ボールを放さずアウトに。しかし、負傷の治療のために一旦ベンチに下がり、再びグラウンドに姿を見せると、スタンドから大きな拍手が送られた。
三回までは香水晴貴が得点を与えず、四回は2死満塁のピンチを招くも、大誠が三邪飛に食らいついて得点を許さない。
五回も併殺でしのぐが、グラウンド整備後の六回だ。1死から内野安打と2つの四球で再び満塁としたところで連打を浴び、3点を失う。
七回に登板した北浦遼那は先頭のヒットのあと、1死から長打を許して1失点。しかし、2死三塁から登板した村井拓海が1球で遊ゴロに抑えて火消しを果たす。
イニングをまたいで八回もマウンドに上がった村井は四球とボークがありながらも後続を断った。
■責任を背負う岡﨑太一監督
試合後の岡﨑太一監督は無念の表情を浮かべながらも、冷静に取材対応した。
「選手たちはシーズンを通して戦ってきた野球を、そのままやってくれたと思います。先発ピッチャーは3点、後ろが1点で4点ゲームっていうのは僕がイメージしていた野球で、ここで負けてしまったのは僕の責任です」。
阿部選手の足が活かせたのも、しっかり守ったのもシーズンでやってきたことだ。
五回裏後のインターバルを挟んでの香水投手の続投については「球数も70球ちょい(74球)だったので、出し惜しみをするつもりはなかったけど、いけるところまで引っ張ろうと。交代という選択肢はなかったですね、僕の中で」と既定路線だったと明かす。
「整備を挟んでというところはバッテリーも含めてチームとして課題にしていたところなので、そこを乗り越えてほしいと思っていた。(キャッチャーの森本)耕志郎にも、そこをどうにかというのは思っていたので」。
なにより、託しているのはチームのエースである。
「2点リードしている状況だったし、今季7勝を挙げたチームの勝ち頭なので、同点になるまでは香水にと。逆転はされましたけど、白黒つくところまでは香水でっていう考えでしたね」。
全幅の信頼をもって送り出しているのだ。
愛媛については事前に映像などを見て、選手とともにデータを集めて資料を作り、研究したという。
「打線は左バッターが多くて、まっすぐ系に対してしっかりコンタクトしてくる、引っ張れるバッターが多い。送るところは送る、走るところは走る、奇策を仕掛けてくるというよりは、しっかりとした手堅い野球をしているという印象で、もう本当に印象どおりでした」。
投手に関しても、イメージと違(たが)わなかったと明かす。
「でも、なかなか初見のピッチャーに対応するのは難しい。もちろん、向こうも香水に対してそうですけど。徳島に勝ってきて勢いのあるチームで、打てなかったのはいろいろありますけど、そこも含めて僕の責任です」。
何度も「責任」という言葉を重ねた。
「やれる準備は全部やりましたし、選手もできることは全部やってここに挑んできた。彼らは本当に100%出しきってくれた」と愛弟子たちをかばい、「勝敗に関しては僕はすべて背負うものなので」と、シーズン中と変わらぬ姿勢を貫いた。
そして「選手たちはいろんな思いをもって、この試合に臨んだと思う。これが最後だと決意している選手もいたでしょうし」と独立リーガーの状況を思いやり、「彼らの姿を目に焼きつけました」と、岡﨑監督自身にもさまざまな思いが去来しているようだった。
グランドチャンピオンシップで敗れても、リーグ優勝の価値は一分たりとも薄れるものではなく、誇らしいものだ。
「でも課題しか残らないですね、やっぱり。優勝してもね。自分の指導力不足を痛感しましたし、もっともっと野球を勉強しなきゃいけないなっていうのは、つくづく思いました」。
決して驕らず、謙虚に受け止めている。監督1年目、いや、指導者1年目の岡﨑監督にとって、貴重な糧になったのは間違いない。
その高みを目指す姿勢は、今後の石川ミリオンスターズに大いなる希望を抱かせてくれる。
*次回はグランドチャンピオンシップでのおもな選手を紹介する。