【速報】STAP細胞国際出願、米国への国内移行が判明
理研(とブリガム アンド ウィメンズ病院)がまさかの国内移行を決断したSTAP細胞製法の国際出願、新聞報道では「複数の国」というだけでどの国に移行したかは明らかになっていませんでした。リアルタイム化が進展しているWIPOのデータベースPATENTSCOPEでも、各国国内移行の状況だけはタイムラグが結構あってすぐにはわかりません。まあ、少なくとも日本と米国には移行しているのだろうなと思っていました。
しかし、今、米国特許庁の審査情報データベースPAIRを検索したところ、想像どおり米国への国内移行が行なわれていたことが判明しました(わりとすぐ反映されるんですね、調べ方は弊所ブログ記事を参照してください)。米国国内出願番号は、14/397,080です。米国は審査請求制度がなくすべての出願が実体審査の対象になりますが、通常、実体審査に入るまでには1年以上かかります。
あと、専門的な話になりますが、74個あるクレームのうち、最初のクレーム1を残してあと全部が補正で削除されてます。明細書の中から何をクレームにするかは後で考えようということでしょうか?また、クレーム1は「細胞にストレスを与えて多能性細胞を作る方法」というめちゃくちゃ広いもので、国際調査報告でも新規性なしと判定されてますので、仮に審査に入っても拒絶理由通知(Office Action)が出るでしょう。この拒絶理由通知への応答期間を利用してさらにクレーム検討の時間を稼げます。一般に、このように極端に広いクレームを残しておいてわざと拒絶理由通知を出させるのは、特許化の可能性は薄いけど、念のためできるだけ長い間特許庁への係属状態を続けておきたいという場合に使われる手のようです。
(追記:14/11/01) 今、米国国内出願14/397,080の情報をPAIRで調べようとしたら情報が見つかりません(PCT/US2013/037996からの国内移行情報も消えています)。上記の手続補正書のコピーを見てもわかるように、米国国内移行の記録があったのは確かです(夢を見ていたわけではありません)。米国移行を取り下げたのでしょうか?(そもそも、このタイミングで取り下げるとPAIRから痕跡なしに消えてしまうのでしょうか?)、移行の情報がPAIRに載ったこと自体がフライングだったのでしょうか?(米国も優先日から1.5年で出願公開されますが、多少事務手続きの時間がかかるようです)、それともPAIRのシステムトラブルなんでしょうか?(実際、ちょっとダウンしていたみたいです。)USPTOにメールで問い合わせたところ、担当者に直接電話で聞けと言われてしまったので、後日電話してみるかもしれません。