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18戦全勝15KOとなったWBAウエルター級11位

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 WBAウエルター級11位にランクされるヘスス・ラモスが18戦目のリングに上がり、 6回2分21秒でTKO勝ちを収めた。これで戦績は18戦全勝15KO。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 PBCが「ウエルター級センセーション」「成長著しいスター候補」「未来の世界王者」と派手な謳い文句で売り出している20歳だが、内容は決して良いものではなかった。

 第2ラウンド、32歳のベテランサウスポー、ヴラディーミル・ヘルナンデスに左をクリーンヒットされると、相手の攻撃を持て余し、翌3ラウンドの接近戦でも打ち負ける。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 ラモスはスピードに欠け、ステップもベタ足だ。PPVには組み込まれていたものの、セミファイナルの一つ手前に組まれたこの試合は、ファンが凝視する内容ではなかった。

 リングサイドには元スーパーウエルター級世界王者のフェルナンド・バルガスの姿があり、周辺の席を購入したファンはリングには目をやらずにバルガスと記念写真を撮ることにプライオリティーを感じていた。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 そんななかで、ラモスが放ったオーバーハンドがヘルナンデスを直撃すると、32歳の膝が揺れる。畳み掛けるラモスとヘルナンデスの間にレフェリーが割って入って試合を止めた。

 呆気ない幕切れだったが、シャープなコンビネーションやボディワークなどは見せられずに終わった。ウエルター級で世界タイトルを目指すにはまだまだ課題が多い。

Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 試合後、ラモスは言った。

 「ノックアウトは狙っていなかった。でも、ヘルナンデスより賢く戦った。彼はタフで耐久性がある選手。毎ラウンド、クリーンヒットを浴びせてダメージを与え続けた。そこが勝因かな。自分のすべき仕事をやったよね。

 フロイド・メイウェザー・ジュニアのような履歴書を作成することを望んでいる。彼はアルツロ・ガッティ、チコ・コラレス、ホセ・ルイス・カスティージョ等、トップ選手と戦って勝ち続けた。僕もあんな風にキャリアを重ねて、名声を得たいんだ」

 20歳の若者が夢を語るのは素晴らしいが、ラモスがメイウェザーの域に達するには、いくつもの壁を乗り越えねばならない。それは、途方もないほど険しい道のりだ。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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