スペースX、2回目のスターリンク衛星60機を打ち上げ成功。ネット接続サービスは2020年提供開始へ
2019年11月11日23時56分(日本時間)、米スペースXは巨大通信衛星網スターリンクの2回目の打ち上げとなる60機の衛星をフロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げた。衛星は目標時刻の現地時間午前9時56分に打ち上げられ、およそ60分後に高度280キロメートルで60機の衛星の展開を開始。打ち上げは成功した。
スターリンク衛星は、イーロン・マスクCEOが計画している約1万2000機の通信衛星によるインターネット接続網で、「メガコンステレーション」と呼ばれる。高度550キロメートルに同型の衛星を4409機打ち上げる予定で、衛星の開発・製造から打ち上げ、運用まですべてスペースXが行う。同様の打ち上げを後4回行って2020年にはアメリカ合衆国とカナダの一部で通信サービスを開始する。2021年には世界でも通信サービスの提供を開始するという。
10月にイーロン・マスクCEOは「スターリンク衛星を通じてツイートを送っている」とツイートしており、すでに衛星が地上と電波の送受信を開始していることをうかがわせた。とはいえ、ユーザーターミナルの実機はまだ公開されていない。
5月24日の初打ち上げから今回までの間に、スペースXは通信衛星が使用する電波を「Ku帯とKa帯の両方で最大化した」としており、大容量、低遅延のサービスを目指しているものと見られる。また、米連邦通信委員会から最大3万機の衛星を打ち上げる許可を得ており、通信網の大型化を目指すものとされる。衛星はミッション終了後1~5年で大気圏に再突入して燃え尽きるとしている。
スターリンク衛星の最初の打ち上げ後、衛星の片翼の太陽電池パネルが太陽光を反射し、夜間に光の列となって見える「スターリンク・トレイン」が世界中で見られた。光害や電波による天文観測への影響が懸念され、各国の天文学者が声明を発表するなど対策を求める声が高まっている。
スペースXは、5月末に米国国立電波天文台(NRAO)と共同で電波天文学への影響を低減する検討を開始したと発表した。通信衛星が既設の天文施設や計画中のアンテナ網を避けて通信を行う「除外区域」を設けることなどが考えられている。衛星の表面を黒い外装に変え、光を反射しにくくする設計変更も行うという。
こうした天文学への影響を低減する措置は、次回以降のスターリンク衛星から反映される予定で、今回はまだ行われていない。そのため、これから数日は夜間に第1回打ち上げ時と同様のスターリンク・トレインが見られる可能性がある。