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全体34位としてNBAドラフトでコールされたアジア系PF

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アーカンソー大学のスター選手として鳴らした 身長2メートル8センチのPF、ジェイリン・ウィリアムズが、NBAドラフト全体34位でオクラホマシティー・サンダーからコールされた。

 この瞬間、ベトナムにルーツを持つ、初のNBA選手が産声を上げた。

 「まだ、始まりに過ぎないよ」

 NCAAディビジョン1で活躍したウィリアムズは周囲にそう告げた。

 ウィリアムズは、2002年6月29日生まれの19歳。ベトナム系のアメリカ人で、アーカンソー州で育った。

オクラホマの先輩選手が愛用するチームカラーのバスケットシューズ
オクラホマの先輩選手が愛用するチームカラーのバスケットシューズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今季のドラフトでは、アジア系の選手がもう少し呼ばれるのでは…と噂されていた。同じベトナム系でUCLAのSGジョニー・ズザング、オーストラリアでプロとしてプレーするフィリピン人選手、カイ・ソット、1984年のロス五輪女子バスケットボールで銀メダルを得た母を持つ、大韓民国のサラブレッド、ヒョンジュン・リーなど。

 しかしながら、実際に名前を呼ばれたのはウィリアムズのみであった。

 背番号はドラフトの順位と同じ34に決まったようだ。2シーズン在籍したアーカンソー大学を離れ、オクラホマに移り住む。

 昨シーズン、大学では37試合に出場し、平均得点が10.9、リバウンドが9.8、アシストは2.6。シュートの成功率は46.1パーセントで、15回のWダブルをマークした。

 プロの世界におけるウィリアムズの活躍を祈る。今尚、不毛な戦争だったとベトナム戦争を嘆く米国人、ベトナム人は数知れない。ウィリアムズよ、バスケットを通じ、現代社会の星となれ!

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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