【登録期限終了】ソフトバンク育成選手の厳しい現実。54人中、支配下昇格は1名のみ【巨人は10名】
プロ野球の今シーズンの選手契約および譲渡可能期間が7月31日をもって原則終了した。
これにより、育成選手は今季中の支配下選手登録の可能性はなくなった。つまり、今季1軍でプレーする機会がなくなった。
巨人は10人が“昇格”
今年は全12球団で32名が育成選手から支配下選手契約への移行を果たした。最も多かったのは巨人の10名(うち9名は支配下復帰選手)。3月9日に支配下復帰を果たした横川凱はここまで4勝4敗、防御率3.26と1軍でも戦力となっている。3月24日には梶谷隆幸が支配下登録され、ここまで61試合、打率.278、2本塁打、13打点の成績を残している。5月には三上朋也、平内龍太、中川皓太も支配下復帰している。
巨人は今春キャンプ時点で育成選手48名を抱えていたが、一方で支配下登録選手は58人しかおらず、上限の70名までかなり余裕を持たせていた。
その巨人よりも育成大所帯で臨んでいたのが、今季から球界初の4軍制を導入したソフトバンクだ。
3桁背番号の選手は54名で今季をスタートさせていた。
そんな育成大国の中から支配下登録を今季勝ち取ったのはわずか1人のみだった。
ソフトバンクはルーキー木村光が支配下に
ルーキー右腕投手の木村光だ。昨年ドラフト会議の育成3位で佛教大学から入団。最速150キロの質の高い直球と安定感のある投球が持ち味の右腕で、支配下登録時点ではウエスタン・リーグでは15試合(うち8先発)に登板して1勝4敗、防御率3.14の成績を残していた。
木村光は現時点で1軍昇格を果たせていないものの、先発と中継ぎの両方で期待をされており、引き続き2軍でアピールを続けている。
ほかにどんな「候補」が?
かねてより育成出身のスター選手を多数輩出してきたソフトバンク。木村光のほかにも「育成の星」候補は何人か確認できていた。
投手では奥村政稔が支配下復帰を狙っていた。
昨年は1軍4試合登板ながらプロ初先発を含む2度の先発でいずれも好投。念願のプロ1勝こそお預けだったが、PayPayドームのお立ち台には上がり、防御率0.90という好成績を残していた。右ひじを手術した影響から育成契約で今季を迎え、ウエスタン・リーグでは6試合に登板して1勝1敗、防御率5.16の成績。防御率は悪いものの、自慢のコントロールと巧みにボールを動かす投球術は見せており、投球内容そのものは安定していた。
同じく昨オフに支配下から育成契約となっていた中村亮太はウエスタンで36試合に投げて3勝4敗、防御率2.93、奪三振率9.68。
育成5年目の重田倫明はウエスタンで6試合2勝1敗、防御率3.95。3・4軍戦の非公式戦では12試合6勝0敗1セーブ、防御率1.73の成績だった。
オープン戦で打率3割5分超でも夢叶わず
野手では、今春の1軍オープン戦に12試合出場し打率.357、1本塁打を放った川村友斗。
ウエスタンでは30試合で打率.235、2本塁打、9打点にとどまっているものの、3・4軍の非公式戦では38試合、打率.370、3本塁打、29打点をマークしている。育成という立場もあり、チーム事情から2軍公式戦の出場機会も限られており、飛びぬけた成績は残せなかったが、オープン戦の時点で力は十分に見せつけた。
昨年のウエスタン盗塁王の緒方理貢も今季ウエスタンでは38試合で打率.143、3盗塁と振るわないが、3・4軍の非公式戦では50試合で打率.327、32盗塁を記録し、特徴を発揮している。
チーム一のガッツマンの仲田慶介は31試合で打率.258を記録。育成13位ルーキーの西尾歩真もウエスタンに38試合に出場して打率.188だったが、102打席に立つなどスタメンで多く起用された。
ソフトバンクと巨人は両極端
巨人とソフトバンクの違いは、今季当初の支配下登録選手の人数だ。ソフトバンクは春季キャンプの時点で67名と、残り枠はこの時点で3つしかなかった。6月にはデスパイネを再獲得。7月にはリリーフ左腕のヘルナンデスも入団してきたため、木村光を育成から支配下登録しただけで上限の「70人」に達してしまった。
両球団の「枠の使い方」は極端に違っていたが、果たしてどちらが正しいのか。はたまた、この中間地点でバランスをとるという考えを今後導入するのか。今オフのチーム編成にも注目だ。
また、7月末までの登録期限で支配下登録の目標をかなえることができなかった選手たちだが、プロ野球人生がそれで終わるわけではない。オフの新たな契約に向けたアピールの日々は今後も続いていく。
※写真はすべて筆者撮影