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NY原油16日:米原油在庫の減少観測で反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.45ドル高

始値 59.60ドル

高値 60.37ドル

安値 59.42ドル

終値 59.97ドル

明日に米原油在庫の発表を控える中、期近主導で反発した。

先週後半は国際原油需給の緩和見通しを背景に売り込む動きが強くなっていたが、本日は再び米国内需給環境の方にマーケットの関心がシフトした。米原油在庫の市場予測は前週比-180万バレルとなっており、前週に続いて米国内需給の緩和状態を是正する動きが確認されることが警戒されている模様。為替相場はドル高方向に振れたが、これを手掛かりに売り込むような動きは限定された。

米原油在庫の減少は季節トレンドに沿ったものであり、特に珍しいものではない。ガソリン販売が好調な中、ガソリン精製用の原油需要が拡大するのは当然とも言える。そもそも、米原油在庫は過去5年のレンジを大きく逸脱した状況にあり、多少の在庫取り崩しが進んでも需給緩和の基本フレームが修正を迫られる環境にはない。ただ、マーケット(特にWTI原油市場)では在庫減少傾向をポジティブ材料視する向きも根強く、明日にこの材料をどのように消化していくのかが注目される。

仮に米在庫減少を無視して下値切り下げを打診することができれば、原油相場の下振れリスクは大幅に高まることになる。国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米原油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、どちらを重視して価格形成を進めるのか重要な分岐点に差し掛かっている。ドル高回帰が実現すれば50ドル割れも可能な相場環境とみている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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