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#OculusGo は新たなVRコミュニケーションツールだった

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
FEDEXで届いたOculus Goデバイス

KNNポール神田です!

2018年5月1日から発売となった Oculus Go

https://www.oculus.com/go/

日本に到着した OculusGo を試してみた。

購入したのは、64GBの2万9800円モデル。ちなみに32GBは2万3800円だ。

今までのVRヘッドセットとの一番の違いは?

今までのVRヘッドセットとの一番の違いは、スタンドアローンタイプであることだ。PlayStation VRなどは、本体にコード接続されたVRだった。また、スマートフォンを挿入するタイプの簡易VRは、ケースにセットしなければならなかった…。何よりも、このOculus Goの良さは、ヘッドセットだけを頭にかぶり、コントローラーで操作するだけという気軽さだ。

スマートフォン経由でOculusアプリをダウンロードし、Facebook連携やWi-Fi設定するだけだ。

NetflixをIMAXサイズで寝転んで視聴する

OculusGoでNetflixを視聴中の筆者
OculusGoでNetflixを視聴中の筆者

VRのアプリに「Netflix」があり、Netflixのコンテンツがサブスクリプションしていれば楽しめる。Netflixの画面も大きな家のリビングルームで見ているような構造なのだが、画面左上のアイコンをコントローラーで選択すると、スクリーンを映し出す方向を選べ、画面のサイズも自由に大きくできる。

ベッドで寝ながら、ヘッドセットのバンドも外し、バランスよく頭の上にのせれば、まるで自宅のベッドでIMAXシアター以上の巨大な視野で鑑賞することができる。

OculusGoは、Netflix再生端末としても十分に価値を発揮できていると思うほどだ。

OculusGoの真骨頂は『Oculus Rooms』のFacebook連携

Oculus社は、Facebookが買収したVR会社だ。なぜ?FacebookがVRをという疑問がここに来て一気に納得ができた。そう、Facebookのリアル知人と『Oculus Rooms』の部屋の中でチャットやミーティングができるのだ。ザッカーバーグは、これをやりたかったのだ。

現在、最大4人までの制限があるが、OculusGoでは、知人「アバター」の音声の方向や距離感も感じとることができる。たとえ仮想でも「空間」を共有しているので、今までのビデオ会議と違い、なんだか「会っている感」が非常に強いのだ。左にいるアバターは左から音が聞こえ、右にいるアバターは右から聞こえる。遠くのアバターは遠くから聞こえる。当たり前のようだが、人類の脳は見事に仮想世界の錯覚の世界に没入している。

現在のOculusGoのユーザーは、アーリーアダプターが多いせいか、VRの未来について話し合う知人が多い。ついついお昼から話し込んでしまい、気づいてみたら、リアルの世界は、日が暮れて真っ暗になっていることがある。時間の感覚もなく没入してしまっていた。土日のOculus Roomsは、アラームをセットしておいて楽しんだほうがよさそうだ。

VRは「仮想移動端末」だ

VRは仮想空間ゲームをする端末というよりも、実は、仮想空間で人と会うための「仮想移動端末」なのかもしれない。4人までなら、十分にビジネスミーティングも可能だ。あとはスライドショーを見せたり動画を見せることもできる。

一番効果的なのは、360度動画があれば、それを見せながら説明するとまさに体験しているような気持ちになれる。出張報告などは、これからは、RICOH THETAで「Oculus Rooms」で共有体験するということもできそうだ。360度映像をシェアしながら没入し共有体験をする。他人の体験映像を360度で同時に追体験するということも実現できるのだ。

かつてのSecondLifeとの違い

また、CGで作られたOculus Roomsの自分の部屋は、まるで往年の『SecondLife』を彷彿させる。「SecondLife」ではアバターを操作し、自分の分身であるアバターを仮想世界に投入させていたが、この「Oculus Rooms」では、自分自身がアバターとなり、仮想世界に没入することができる。

なによりも、人間は、視覚と聴覚を優先していることがよくわかる。リアルな肉体が、自分の部屋にいても、視覚と聴覚がVRの世界に没入し、知人と会話をはじめてしまうと、「心ここにあらず」で、幽体離脱のような現象になるのだ。時おり、リアルな自分の体がドッペルゲンガーのように感じてしまうのだ。また、SecondLife時代の「リンデンドル」同様に仮想通貨が復興することだろう。いろんなビジネスモデルが想定できる。

VRの未来をアクセラレートするデバイス

まだ、デバイスを開封してから3日間、72時間ほどの体験だが、OculusGoにVRの未来を非常に感じた。スタンドアローンでワイヤレスになっただけでかなりの自由度と、息抜きとして外出するような感覚でVRの世界に没入することができる。

VRマニア、VRゲームマニア、VRエロマニアから、コミュニケーションやVR映像ビューワーとしての成立で、一般層に広がりが期待できそうだ。また、VRビジネスにおいての、かつての仮想通貨、アイテム課金、いろんなビジネスが想定される。企業がVR空間をウェブサイトのようにパビリオン化することもある。「SecondLife」バブルがまたやってきそうだ。

現在、OculusGoはFacebook連携やInstagram連携が主だが…「SecondLife」をまったく知らない「インスタ映え世代」に手が届くようになれば、また大きな変化が訪れてくることだろう。インスタ映えしそうな仮想空間へ押し寄せてくるかもしれない。また、おしゃれな360度空間ビデオ撮影で「インスタ空間映え」を演出し、アイテム課金で着飾った自分アバターでおしゃれするなんてことも可能だ。

狭い自宅でも、一旦、ヘッドセットをかざすだけで、大豪邸に変身する。どこへでも行った気分になれる。

同時に、GoogleやApple、そして、AmazonやLINE、Microsoftのような企業にとっても、この仮想空間は新たな媒体とプラットフォーマーとしての利権争いの場になる可能性が高い。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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