変わる年金と控除 恩恵を受けるのは誰? #専門家のまとめ
厚生労働省は3日に行われた社会保障審議会年金部会で、厚生年金の家族手当にあたる加給年金で、子ども(18歳未満)への加算額を引き上げる一方で、配偶者加給年金を縮小する方向で議論されました。
また、国民民主党の玉木代表は、「103万円の壁」を178万円まで引き上げるとともに、子どもを扶養している世帯への控除拡大も主張しています。
子育て世帯に対しては手厚い支援が打ち出されようとしている一方で、専業主婦への手当等が縮小する方向性で調整されています。この背景と今後の流れをこれまでの報道から読み解いていきたいと思います。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
政府は「異次元の少子化対策」として、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する、この3つを基本理念として抜本的に政策を強化することを掲げています。
国民民主党の玉木代表は「給付も控除も両方やるべきだ」と主張していますが、実現されれば、子どもがいる家計には大きな恩恵となりそうです。
他方で、独身世帯、DINKs(共働きで子どもを持たない)世帯が増えており、子どものいる世帯の数は、2022年で約992万世帯(全世帯の18.3%)と少数派となっています。
106万円の壁撤廃でより多くのパート労働者が厚生年金に加入することになったり、配偶者加給年金(65歳未満の配偶者がいる場合、最大年約41万円加算される)は、将来的に支給額を縮小する方向で検討されています。
つまり、子育て支援は拡大されるものの、女性も外で働き、自分で収入を得て、年金を払うことが求められていきそうです。
これまでの制度設計は内助の功という前提で作られていましたが、そうした世帯が少数派になりつつあり、女性も働き方やライフプラン等で意識を変えていかなければならなそうです。