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ドイツ・12歳の少女を同年代の少女が刺殺 「子供が子供を殺す」について考える

シュピッツナーゲル典子在独ジャーナリスト
イメージ画(写真:アフロ)

ノルトライン・ウェストファレン州(以下NRW州)フロイデンベルク近郊の森で3月12日(日)、女性の遺体が発見された。警察の捜査で友人を訪ねた土曜日夕方、帰宅しないままだった12歳の少女ルイゼさんだと判明した。犯人は被害者と同年代の少女達だというが、刑事責任に問われない。一体何があったのか。

事件の経過

NRW州フロイデンベルクに住むルイゼさん(12歳)が最後に目撃されたのは、3月11日(土)の午後5時30分頃で、友人を訪ねた後、歩いて帰宅するところだったそう。

彼女が帰宅しないため、両親は約3時間後に警察に通報した。その後、捜査犬、赤外線カメラ付きヘリコプター、ドローン、警察と消防隊による捜索活動が開始された。

そしてNRW州との州境に隣接するラインラント・プファルツ州(以下RP州)の森で3月12日に女性の遺体が発見された。当初、それが行方不明のルイゼさんかどうかは不明だったものの、当局は13日、ルイゼさんの遺体であると発表した。

RP州コブレンツ検察庁のマンヴァイラー所長によると、ルイゼさんは同年代の2人の少女に刺殺されたといい、少女達は犯行を自供しているという。

「被害者は何カ所もナイフによる傷とその後の失血死によって殺害されたことが判明した」と、マンヴァイラー所長は記者会見で発表した

捜査当局は、すでに早い段階から犯人と思われる人物の行方を追っていた。容疑者の少女たちは、最初の審問での供述が他の目撃者の供述と矛盾していいたため、捜査当局が不信感を抱いた。

保護者や心理学者の立ち会いのもとで行われた2回目の審問で、容疑者の少女達(12歳と13歳)は矛盾を突き付けられ、ついに犯罪を自白したという。しかし、凶器はまだ見つかっていない。

捜査関係者によると、動機は「極めて複雑」であり、関係者の年齢を考慮し、犯行直後の詳細についてはこれ以上明らかにしたくないそうだ。

NRW州ヴュスト州首相は、「子供がこのような行為をすることは想像を絶することであり、とても耐えられない。この苦しみを乗り越えるために必要な援助はできる限りしたい」と述べた。

加害者は刑事責任を負う年齢に達していない  

今回、加害者の年齢が捜査当局にとって問題となる。少女達は14歳未満であり、刑事責任を負う年齢に達していない

少年刑法が専門の弁護士によると、「この法により加害者を罰することを目的とした手続きは行われず、家庭裁判所が責任を負うことになる」と、説明する。

2人は青少年福祉事務所に引き渡され保護されているそうだ。その事務所が今後のすべての措置に責任を持つことになるという。

「本格的な捜査はこれからです」と、前出のコブレンツ検察庁所長は言う。

家庭裁判所は、この犯罪が加害者の家族の中で適切に対処できるかどうかを検討する必要がある。「そうでない場合、家庭裁判所は子供たちを家族から引き離すことができる」と、前出の弁護士は述べている。

この法律が効果を発揮するのは、被害者だけでなく、加害者とされる人たちも保護するためだ。子供たちはまだ14歳に達していないため、犯罪年齢に達しておらず、刑事罰を受けることはない。

医師、心理学者、介護者、両親、そして青少年福祉事務所などにより、今後この悲惨な事件の解明に時間が費やされる。

どのような措置が取られるかは、個々のケースに大きく依存するという。おそらく、子供は精神科の治療が必要であり、場合によっては閉鎖的な施設での治療も必要かもしれない。

また、両親が子供を育てるための支援を受けることも可能である。しかし、両親の意思に反して親から子供達を引き離すことは、法的にはハードルが高い。

一般的に、14歳未満の子供が暴力犯罪の容疑者として登録されることは非常に稀だ。これには、例えば、危険で痛ましい身体的危害、性的虐待、死に至る身体的危害、過失致死、殺人が含まれる。

2021年、この分野の被疑児童の数は、2020年と比較して増加した(7,103人から7,477人へ)。しかし、2019年と比較すると、2021年は約10%の減少となっている。コロナ禍の時期に重なるためだろうか。

ちなみにドイツ連邦統計局及び警察犯罪統計によると、2021年に刑事犯罪の容疑者となった子供(13歳まで)は、68,725人だった。最も多かった犯罪は窃盗で22,859人、傷害14,493人、器物破損10,857人と続く。殺人、傷害致死は最少で19件だった。21年における14歳未満のドイツの子供は、およそ850万人だという。

この記事を書き終わったところで、新しいニュースが入ってきた。殺害した少女達はルイゼさんの親友だった。加害者は30カ所もナイフのような凶器で刺したそうだ。

被害者と加害者の間で口論があったようだが、加害者は衝動的で無思慮な怒りに支配され、短絡的な犯行に走ってしまったのだろうか。

在独ジャーナリスト

ビジネス、社会・医療・教育・書籍業界・文化や旅をテーマに欧州の情報を発信中。TV 番組制作や独市場調査のリサーチ・コーディネート、展覧会や都市計画視察の企画及び通訳を手がける。ドイツ文化事典共著(丸善出版)国際ジャーナリスト連盟会員

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