Bookレビュー『メタバースとWeb3』國光宏尚 著 経営者が一番最初に読むWeb3本として最適
KNNポール神田です。
國光宏尚(くにみつ・ひろなお)著の『メタバースとWeb3』を読んだ…。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/ebookjapan/b00162974118.html
最初のタイトルで『メタバース』と『WEB3』が同軸で語られることに異和感を感じながらも読み進めていくうちに次第に納得できるようになった。
『バズワード』としての『メタバース』や『WEB3』の世界を解説する書ではなく『事業者・経営者』としての視点で、この潮流をどう解釈しているのかがよくわかる書籍である。
■『モバイル・ファースト』から『バーチャル・ファースト』の概念の理解
この書の、一番の特徴は、『バーチャル・ファースト』という概念の啓示だろう。
もはや、『モバイル・ファースト』の時代は誰もが理解していることだろう。PCは、デスクの前に座らなければ仕事にならないが、モバイルならば、ベッドルームだろうがバスルームだろうがいつでもどこでもそこが仕事のスペースへと変身するようになった。
『バーチャル・ファースト』というのも2022年中盤の現在では、まだまだ象徴する『デバイス』側が、ヘッドマウントディスプレイなどのゲームはエンタメ領域なのでイメージしにくい。しかし、没入感が変わったり、もっと簡易にバーチャル空間でのふるまいが可能になることだろう。さらに解像度が上がり、装着感が代わり、視聴覚の延長をデバイスが補完できるようになる。
コロナ禍でテレワークや、在宅勤務が一気に10数年分は進化したこの2年間だった。この経験は大きい。今までの出張や出社の概念を大きく変革をもたらした。無駄な経費を削減できた事業者は空前の利益を叩き出しているほどだ。ある意味、これも『複層化する空間』としてのメタバース環境が生み出した功績だろう。
そして、『バーチャル・ファースト』は、これから20年くらいの時間と経験をかけて、仮想ではなく、現実として認識されるようになっていく。さらにそれらは進化するブロックチェーン技術によって、誰もが主体者がいなくても、改ざんされずに信頼性が担保されるデータ基盤が使えるようになる。
ある意味、『バーチャル・ファースト』は、アナログをデジタルに置き換えた後の、ネイティブなデジタルから創造される創造物のことをさしているようだ。
国光流シンプル理解によれば、ビットコイン、イーサリアム、NFT、DAO もバーチャルファーストな創造物ということでまとめることができる。
■Web3は『ブロックチェーン』のリブランディング
國光氏によると、VRの世界観のリブランディングが『メタバース』であり、仮想通貨、暗号資産、ブロックチェーン、 クリプトのリブランディングが『Web3』と言い切る。これは、ある意味、小気味の良い切り口で理解しやすい。
まだまだこれからの次世代のものを無理やり定義づけしようとするのと期待値を持ち込みすぎることによって齟齬が発生するが、単なる『リブランディング』と切り捨てたほうが理解しやすい。
■インターネットは『広告』と『コマース』しかまだ変えてない…
インターネットの世界が登場して、25年、四半世紀が経過したが、『広告』と『コマース』しか変えてはいない。さらに、これらは『金』というアナログなリアルなものでしか流通できなかった。
今後は『バーチャルな空間』で価値が創造される時代であり、
20年以内にはリアルの 世界のGDPをバーチャルな世界のGDPが超えると國光氏はいう。
この世界観には、共感できるところが多々ある。
國光氏はヴィジョンメイカーではなく事業者であり投資家だ。
スマホゲームの世界から、現在は、NFTマーケットプレイスのOpenSeaをはじめ、 Celsius、YGG、VEGA、Qredo、1inch、THETA、Epic Games、Rec Room、BeatGamesなど、VR Fundやgumiからの直接投資も合わせると、 既にユニコーンとなった企業だけで13社に関わる。
実際にトークンを発行している『FiNANCIE』なども中央集権的だが、DAO組織を目指している。
経営者として重要なのは、頭で理解するのではなく、人々がこの現象でどう動き出すかを感じることだ。
まずは、読んでみて、参加してみるというのがWeb3時代の生き方だ。勉強するのではなく、感じてみることが一番重要ではないだろうか?