能登半島地震 決して許してはいけない災害便乗の悪質商法 どんな備えをしておくべきか #専門家のまとめ
能登半島地震が起きて、多くの建物が倒壊するなどしました。
今後、被災地を狙った悪質商法が起こる懸念が高まっています。災害後の悪質商法は、心身とも窮地に陥っている被災者を直撃してきますので、決して許してはいけない行為です。すでに不審な訪問があったという報道も出てきています。
避難所から多くの人たちが家に戻り、後片付けなどをしていると「困っていることはありませんか」と、公的機関を装ったり、無料点検を口実に敷地内に入ってきた業者とのトラブルに巻き込まれることが考えられます。
災害発生から時間が経てば経つほど、被害が多く起こるのが、悪質商法です。
何より今は、いつ、どこで自然災害が起こるかわからない状況ですので、自然災害に乗じて出てくる悪質商法には、どんなものがあるのかを、私たちが事前に知っておくことはとても大事になります。
▼昨年の能登地方の地震後には「ブルーシートを高額で訪問販売している」といった相談が寄せられており、注意が呼びかけられました。
▼2018年の大阪北部地震では、地震により止まったガスの修理に関して、高額な請求を受けるケースもありました。昨今はレスキュー商法の被害も多発しており、窮状につけ込む手口には注意を要します。
▼災害後には決まって「保険金を使うことで、自己負担なく住宅修理ができる」と持ちかけて業者がやってきます。しかしその言葉を鵜呑みにすると、トラブルに巻き込まれてしまいます。
▼過去の取材では、インターネットで調べて呼んだ修理業者から、保険会社に嘘をつくように指示をうけたケースもあります。
東日本大震災ではどんな悪質商法が起きたのか?
2011年の東日本大震災の被害は広範囲に及びました。それだけに数多くの悪質商法が発生しました。当時のネット記事は、ほとんど出てきませんので、どんな手口が報道されたのかを列挙しておきます。
「被災したので、安くするのでカニを買ってほしい」と業者から電話がかかってきた。
海産物の送り付け商法の被害はこれまでも発生していますが、被災地域の業者のフリをして電話をかけてくる手口には注意が必要です。多くの場合、値段に見合わない粗悪な商品が送り付けられてきます。
「貴金属の売却代金の一部を寄付したい」と、買い取り業者から電話がかかってきた。
悪質な業者に遭ってしまうと、相場よりかなり安い値段で貴金属を買い取られることになりかねません。他の業者でも「売り上げの一部を義援金にする」というセールストークを使うことがありますので注意をしてください。
震災で困っている人のためという名目で、仏像を購入させられた。
震災後に「被災者のためになる」との話を持ちかけられ、1体100万円ほどの高額な仏像を買わされるケースが、全国で相次ぎました。この時「(仏像を)買い取る業者もある」と相手を安心させる手を使って、複数の仏像を購入させていた事例もみられます。多くの人が不安を抱えているなかで、霊感商法をまじえたような手口もありました。
被害に遭わないための対策Q&A
被災した家の後片付けをしていると、一般の業者にまぎれて、悪質な修理業者もやってくるかもしれません。対策の備えを怠りなくしておくことが必要になります。
ブルーシートをかけてもらったら、18万円を請求された。適正価格なのか?
2019年に千葉県を襲った台風では多くの屋根が壊れましたが「ブルーシートをかけましょうか?」と業者がやってきて、無料だと思い作業してもらったところ、18万円もの費用を請求された事例もあります。突然の出来事に、つい相手の言い値でお金を払ってしまいがちですが、当時の注意喚起によると、適正価格は一般的な住宅であれば4~5万円ということです。
「屋根が壊れていますね」と強引に家に押し入ってくる業者への対応は?
断ったにもかかわらず「屋根が壊れていますね」と強引に家に押し入ってくる訪問業者もいます。この時「出て行ってください」と家人が言ったのに、敷地から出て行かなければ「不退去」になりますので、警察に通報してください。
勝手に工事が行われて高額な請求をされた時には?
相手が複数人の訪問業者ゆえに、警察へ通報をためらい、勝手に工事が行われて高額な請求をされることもあるかもしれません。
その時には、その場ではお金を払わないようにしてください。
業者が帰った後でもよいので「188」(消費者ホットライン)に相談をしてください。威迫、困惑をさせられて契約した場合、取り消せる可能性があります。諦めずの相談が必要です。
いざという時に慌てないためにも、悪質商法への備えを心得ておいて頂ければと思います。