Yahoo!ニュース

えっ!?「こどもの日」は「母」に感謝する日なの?~意外と知らない「国民の祝日」

竹内豊行政書士
「こどもの日」は「母に感謝する日」だとご存知ですか。(提供:イメージマート)

本日、5月5日は「こどもの日」で「国民の祝日」です。そこで、こどもの日とはどういった日なのかを考えてみたいと思います。

「国民の祝日」とは

まず、祝日とはどういった日なのか見てみましょう。祝日は、「国民の祝日に関する法律」(以下「祝日法」という)という法律で定められています。そして、その第1条は、その意義を次のように規定しています。

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

この法律で、祝日は「休日とする」とされています(祝日法3条)。これは、祝日が「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」であることを踏まえ、一人ひとりの国民が、祝日の意義を考え、平常の勤務を離れて、それにふさわしい一日を過ごすことができるようにするためといえます。

祝日は年間16日

現在、祝日は1年間で16日あります。そして、以下のように「日にちが固定されているもの」「連休になるように定められているもの」そして「法律に具体的な月日は定められていないもの」の3つにわけることができます。

日にちが固定されているもの

  • 元日1月1日年のはじめを祝う。
  • 建国記念日2月11日建国をしのび、国を愛する心を養う。
  • 天皇誕生日2月23日天皇の誕生日を祝う。
  • 昭和の日4月29日激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
  • 憲法記念日5月3日日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
  • みどりの日5月4日自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
  • こどもの日5月5日こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
  • 山の日8月11日山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
  • 文化の日11月3日自由と平和を愛し、文化をすすめる。
  • 勤労感謝の日11月23日勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

連休になるように定められているもの

「○月の第○月曜日」と定められ、毎年連休になるように定められているもの。

  • 成人の日1月の第2月曜日おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
  • 海の日7月の第3月曜日海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
  • 敬老の日9月の第3月曜日多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
  • スポーツの日10月の第2月曜日スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。

法律に具体的な月日は定められていないもの

また、「春分の日」と「秋分の日」は、法律に具体的な月日は定められておらず、天文学上の言葉である「春分日」と「秋分日」とされています。これについては、国立天文台が毎年2月に公表する暦要項において、翌年の「春分の日」と「秋分の日」の日付が記載され、日にちが確定します。

  • 春分の日春分日自然をたたえ、生物をいつくしむ。
  • 秋分の日秋分日祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。

「こどもの日」とは

では、本日の「こどもの日」について見てみましょう。祝日法は、「こどもの日」を次のように規定しています。

こどもの日 5月5日 

こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する

こどもの日ですから「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」ことは理解できるのですが、なぜ「母に感謝する」となっているのでしょうか。

これは私のあくまでも推測ですが、こどもに「産んでくれたお母さんに感謝しましょう」というメッセージが込められているのではないでしょうか。

なお、こどもの日と男の子の成長を祝う端午の節句は同日ですが別物です。

民法の親子の倫理観

さて、民法は親子間をお互いにどのようにとらえているでしょうか。

民法には、「子どもは親に感謝しなければならない」という規定はありません。しかし、「互いに助け合わなければならない」という規定はあります。

民法730条(親族間の扶け合い)

直系血族及び同居の親族は、互いに扶(たす)け合わなければならない。

親子は「直系血族」の関係にあります。したがって、「親子は互いに助け合わなければならない」と民法は規定しています。

しかし、この規定は、戦後の民法改正の際に、日本の「家」制度を残そうとする勢力との妥協の産物として設けられたもので、いわば道徳的な意味しかないと解されています。

法律に規定してあるから「親子は助け合え!」というのも違和感を禁じ得ません。今日では「削除すべき」との意見もあります。

法律や記念日・祝日に関わらず、親子は常日頃お互い感謝して助け合う存在でありたいものですね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

竹内豊の最近の記事