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「僕がジャニーズを辞めた理由」元ジャニーズのNY在住経営コンサルタントにインタビュー第1回

佐藤智子プロインタビュアー、元女性誌編集者
photo/Takuya Yamauchi

このページでは、プロインタビュアー 佐藤智子が、あらゆる職業、地域、年齢、性別、国籍を超えて、さまざまな方にインタビューいたします。

エンターテイメント以外にも、トラベル、教育、ビジネス、健康、美容、芸術、カルチャー、ライフスタイル、スピリチュアルなどのジャンルから、インタビューを試みます。 

今回は、ライフスタイル&エンターテイメント&ビジネスがテーマ。

NY。それは、いつの時代も人を魅了してやまない、誰もが憧れる街。そこで成功、挫折、再生を遂げた一人の経営コンサルタントがいる。

板越ジョージさん。1968年生まれ。20歳で単身渡米、26歳で出版、広告業のITASHO AMERICAを設立。7つの会社を経営し、米NSDAQ上場間近、2001年の同時多発テロの影響で倒産。その後、中央大学大学院にてMBAを取得。現在は、NYでグローバルラボを運営。日本では株式会社クラウドファンディング総合研究所を設立、『クラウドファンディングで夢をかなえる本』(ダイアモンド社)を発刊し、今話題となっているクラウドファンディング研究の第一人者として、アメリカ、日本各地でセミナー活動を精力的に行っている。

9.11が起こり、リーマンショックが起こり、それでも、NYに住み続ける意味とは。NYに夢を持って渡り、成功する人、夢破れて帰る人、残る人、さまざまな人生模様。

27年見続けた、NYの現実とは何か?

板越ジョージさんと最初に会ったのは数年前になる。雑誌の取材でのことだった。その時はNYフリーペーパー「アメリカン★ドリーム」の編集長をしていた。その後、リーマンショックの翌年、2009年にNYで取材させていただいた時は、中央大学ビジネススクールにNYから定期的に通っていると話してくれた。その時の印象的な言葉は、「経済が破綻して、すべてがうまくいかない時こそ、やるべきことが3つある。知識、健康、人脈をつくることです」。

彼は、その言葉通り、MBAを取得後は中央大学の博士後期課程(総合政策)に通い、マンハッタンから海の近くの郊外へ引っ越し、NYと東京で毎月異業種交流会をのべ200回以上を開催していた。

高校卒業後に、バイク便で貯めた100万円で渡米。サウスカロライナ大学に在学中も、35か国をバックパックで遊訪。彼は取材対象者として、あらゆるトピックスを持つ人。つねに、新しいことを見つけて、成し遂げてしまう人。その彼の原点ともいえる経歴がある。

中学時代、あのジャニーズ事務所に所属していたのだ。先輩には、近藤真彦、田原俊彦、野村義男の、たのきんトリオ。すぐ上の先輩には、シブがき隊、少年隊。同期には、光GENJIがいた。自身のその後の人生に大きな影響を与えたというジャニーズ時代。誰にも話す機会がなかったキャリアについて、インタビューすることにした。

<第1回>

NY在住27年の経営コンサルタント、板越ジョージさんに聞く

「NYに住むことの意味。

最新トレンドからわかるもの」

photo/Takuya  Yamauchi
photo/Takuya Yamauchi

NY在住27年の経営コンサルタント、板越ジョージ

いったい何者なのだろうというくらい、様々な顔を持ち、

その時その時の時流に合わせて、世界を飛び回っている。

現在は、クラウドファンディングの日本での第一人者として、

株式会社 クラウドファンディング総合研究所を立ち上げ、セミナーに奔走する。

27年見続けたNYの現実とはいったい?

Q 板越さんは、今、ニューヨークは何年目なんですか。

A 27年ですね。

Q では、人生の半分以上ですね。

A 四半世紀以上ですね。

Q 振り返ってみて、いろんなことがあったと思うんですけど、ニューヨークに住んでみて、どうでしたか? よかったですか?

A ニューヨークに住んでみて、よかったんじゃないですかね。たぶん。

Q よかったと言える理由を3つくらいあげるとしたら、どういう意味でよかったですか?

A うーん。当たり前だと思う価値観をいい意味で疑ってかかれるようになって、自分で客観的に判断できるようになった、ですかね。日本にいると、すべてが当たり前。与えられたものも。ものを見た時に、まっすぐしか見ないけれど、ニューヨークに住んでいると、それが真正面から物事を見てても、なかなか見えないし、逆を言ったら、それは日本人から見る角度であって、同じことを言っても、フランス人は右から見ているかもしれないし、ドイツ人は斜め左から見ているかもしれないし、インド人は真裏から見ているかもしれないし。というので、同じものを見た時に、いいよね、と言っても、たぶん、全員バラバラ、違う方向から、違う意味で、いいよね、と言っていることになる。日本人だったら、いいよねって言ったら、だいたい同じ価値観でいいよねってことだと思う。

Q なるほど。日本にいると、それすらもわからないんですが。共通認識の中にいるということなんですね。

A あんまり、疑ってかからないでしょう。そんなこと、するはずないじゃんみたいな。でも、アメリカにいると、えっ? っていうようなことが起きるから。

Q 例えば、どんなことが?

A 想定できないようなことがやっぱり多いですよね。例えば、何かな……。

Q 例えば、日本だったら、こういうお店ができました。すごい素敵なお店なんだよというと、へえ、そうなんだとすぐに食いついて、行ってみたりして、ブームになったりするけれど。

A そうですよね。日本人だったら、みんな、同じようなテイストで、同じように美しいと思うけれども、ニューヨークにいると、みんなバラバラだから、例えば、ラーメンとかにしても、最近、ニューヨークでは、ラーメンが流行っているけれど、日本人は熱いラーメンが好きだけれども、どうやらアメリカだとぬるいほうがいいとか。ヌードルは、アルデンテか、固めが好きだったりしても、ふにゃふにゃの方が好まれるとか。味も濃いめのほうがラーメンだとわれわれは思うのに、向こうは、けっこうスープ感覚だったりすると、味が薄めだったりとか。だから、ニューヨークに行って、ラーメンを食べて、まずいと思っても、それはアメリカ人のテイストで作ったものだったりするんですよ。

Q ということは、想定をしたことが必ずしも全部当てはまるわけではないから、つねに何をするのも、疑うというか、いろんな方向で見ていかないといけないということでしょうか。

A 例えば、ぬるくてふにゃふにゃのラーメンがまずいと思うかもしれないけど、実は、そこはまずいんじゃなくて、そういう事情があったりするわけ。

Q あ~、そうですね。猫舌だったりとか、いろんな理由がありますよね。

A 日本人からすると、まずいなあ、なんでこんなラーメン出しているの、と。そうじゃなくて、そういう理由があってしているんだということがあるんですよ。けっこう、物事に対しての背景があるというか。なんでこうしているかというと、意外な理由があるんですよ。

Q なるほど~。ニューヨークに住んでみてよかったことの一つがそれだとして、他の二つは?

A やっぱりあれですかね。夢を語れる。例えば、自分がパティシエになりたかったら、パティシエになりたい! ということを大きな声で言える。日本だったら、自分が何やりたいって言うと、「お前、何言っているんだよ」「それ、やるんだったら、いい大学行けよ」とか、「それ、やりたいんだったら、何しろよ」とか、「なんで、お前みたいなやつが」みたいな。

Q ちょっと、否定から入るみたいな。

A そう。だけど、アメリカ人だったら、「やあ、いいねえいいねえ」って言ってくれる。

Q 肯定してくれるわけですね。なんか、イメージですけれど、夢を持たなくては、ニューヨークに住んじゃいけないみたいなのがあるんですけど。ニューヨークの中でも「夢ないです」みたいな人はいるんですか。「よくわからないけど、ニューヨークにいます」という人もいるんですか。

A 失っちゃった人はいるかもしれないけれど、もともとはやっぱり、夢を求めて、というのはあるんじゃないかな。生まれ育った人たちは別として、好き好んでニューヨークに行くという人は、やっぱりそれなりの野心がないと、あんなところには住めないでしょう。物価も高いし。

Q ということは、ニューヨークにわざわざ来た人は、やっぱり何かにやる気があってという。

A 何らかの野心、野望、志があって来ている。

Q むしろ、それがないと、住んでいられないくらい。

A 住んでいられない。家賃も高いし。

Q 今、家賃はどれくらいですか。ざっというと。一人で夢を持ってニューヨークに住むとなると。

A マンハッタンのど真ん中に住むと違うけれど。東京のど真ん中に住むような感じじゃないです。それよりも高いというくらいのイメージを持った方がいいですね。

Q それは、どれくらいしょう? 月いくら?

A 例えば、日本で、家賃12、3万円で住んでいたとしたら、ニューヨークだと、25、6万みたいな感じだったりするんじゃないですか。

Q ああ、倍ぐらいですね。

A もちろん、クイーンズとか、ブルックリンとかのほうに行けば、安い。格差が激しいですよね。安くあげようと思えば、安くあげられるし。よく言うのが、東京にいる時は、けっこういいところに住んでいる人が、ニューヨークに行くと、そういうところに住んでいなくて、ニューヨークは不便だ、不便だという。寒いとか、お湯が出ないとか。逆に言うと、東京だとどこに住んでいるんですか? そこに住んでいる時は立派なお金を払っているんですよね。ニューヨークも同じように立派なお金を払えば、それなりになるのにと。

Q ほんとに対価の、そのお金の価値と同じように条件が変わってくるということですよね。

A それこそ、学生が住むような月7、8万円くらいのところに住んで、それで、多くを求めても無理なんですよ。

Q ちょっと、話がそれちゃうんですが、夢を持って、ニューヨークに行くとなったら、初期費用として、どれくらい資金を持っていけばいいんですか。まず、3か月くらい生きていくためには。

A いやあ、それもあれですよね。何をやるか、どういう生活をするかというのもあると思うんで。安く住もうと思ったら安く住めるし。

Q 安くとは、どの程度?

A マンハッタンに住むのかということもありますし。学生みたいな感じでいくなら、家賃は5、6万であるかも。

Q シェアとかすればね。

A でも、大人で来たら、マンハッタンのホテルで1泊1、2、3万なんて、普通じゃないですか。東京で2、3万のところだったら、マンハッタンだったら5万くらいするじゃないですか。お昼だって、高いですよ。日本だと、ランチスペシャルがあるけど、ニューヨークはないんで。レストランでちょっとものを食べたら2000円くらいしますし。ラーメン1杯2000円くらい出して食べるわけだから。

Q それだけの覚悟を持っていかないと、すぐに帰ってきちゃうということになりかねないですね。あと、1つ、ニューヨークに住んでよかったと思うことは?

A そうですね。世界の一流のものと触れ合えることができるということですかね。例えば、トレンドの発信地じゃないですか。東京でおしゃれなところとか行ったりすると、これって、どこかで見たことあるなっていうような感じがする。聞くと、これはニューヨークで、ということがよくある。

Q ニューヨークにいると、これなに? っていうような、目新しいものが頻繁に塗り変わられるんですか。

A そうですね。    

Q 街歩いていても。

A ありますね。意外にもニューヨークって、世界で成功した人たちが出店するみたいなことはありますね。マンハッタンにある日本食レストランでいけてるレストラン、人気のあるところって、日本から進出しているような一風堂しかり、大戸屋しかり、牛角しかり、日本だと手軽な感じですけど、向こうだとけっこう高級になったりとかして。高級志向で成功しているんですよね。昔は、そのへんのものがニューヨークに来て、同じようなB級路線でいくと成功してなくて。それをアップスケールして高級路線でいくと、成功しているというのが、今の、流行り。

Q つまり、一番最初に言っていた、当たり前と思うことの価値観を変えていく、といういい例ですね。こっちでいうところの普通の定食みたいなことが、むこうでいえば、これだけ品数がそろっていて、ヘルシーで、バランスがよくて、これは素晴らしいという価値観になる。大戸屋の定食、600、700円のものが、ニューヨークだと、1500円、2000円ですよね。生姜焼き定食とかがあるんですか。

A はい、あります。そういうのが、2000、3000円するような世界ですけれど。

Q どういう人たちが食べにいっているんですか。

A 普通の、ちょっとおしゃれなデートの場所。

Q なるほど、それが今のトレンド。今の、ニューヨーク事情なんですね。

A はい、なので日本ではB級だったりするうどんとかから揚げとかも意外にニューヨークでは高級品として売り出せば、流行に敏感なニューヨーカーはおしゃれな食べ物として喜ばれるかもしれませんね。ニューヨークで生き残っていくにはこのようにまずは既成の価値を疑ってかかるところにあるかもしれませんね。

●第2回はこちら

次回に続く

「ジャニーズジュニアのオーディション現場とは!?」

プロインタビュアー、元女性誌編集者

著書『人見知りさんですけど こんなに話せます!』(最新刊)、『1万人インタビューで学んだ「聞き上手」さんの習慣』『みんなひとみしり 聞きかたひとつで願いはかなう』。雑誌編集者として20年以上のキャリア。大学時代から編プロ勤務。卒業後、出版社の女性誌編集部に在籍。一万人を超すインタビュー実績あり。人物、仕事、教育、恋愛、旅、芸能、健康、美容、生活、芸術、スピリチュアルの分野を取材。『暮しの手帖』などで連載。各種セミナー開催。小中高校でも授業を担当。可能性を見出すインタビュー他、個人セッションも行なう。

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