日銀がやっと普通の金融政策に回帰
31日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.25%に引き上げ、国債の月額の買入額を2年かけて3兆円弱に引き下げることを決定した。
この結果を確認して、ほっとした。予想通りの結果となったこともあるが、これまでの金融政策決定会合の違和感がだいぶ薄れてきたためであった。やっと日銀の金融政策が普通になってきたと。それだけこれまでが異常すぎたといえた。
その異常さのひとつの現れが、政策決定で全員一致が続いていたことである。少なくとも私のようにその政策は本当に正しいものなのかという疑問を抱いた政策委員は一人もいなかったのか。
今回は利上げについて2人の審議委員が反対していた。中村委員と野口委員である。
野口委員はリフレ派であり、今回の変更には反対してしかるべきであった。また、中村委員もいわゆるハト派タイプであることが過去の発言から明らかであり、ある意味納得の反対票であり、これが本来の委員会方式の決定会合のあるべき姿である。
そして公表文では下記のようにあった。
「今後の金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。」
今年1月の金融政策決定会合公表文には下記のようにあった。
「引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」
今後の金融政策の方向性を示すものだが、今年1月の決定会合までは、まるで金融政策は緩和方向しかないかのような表現が続いていたのである。これはさすがにおかしいと思わざるを得なかった。
今年3月に日銀はマイナス金利政策と長期金利コントロールを解除した。これは物価高にもかかわらず異常な政策を続けていたものの「異常さ」をまず取り除く作業であった。
そして今回、0.25%の利上げによって金融政策の正常化を進めることとなる。今回の利上げは異例なものでは決してない。今年1月までの金融政策があまりに異常であった。そこから脱しつつあることで、ほっとしたのである。