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ナイキは松明の炎をイメージ。年末年始の駅伝に向けた特別なモデルのシューズが各メーカーから続々登場!

和田悟志フリーランスライター

 駅伝シーズンの真っ只中。特に年末年始は、12月30日の富士山女子駅伝に始まり、年が明けて元日はニューイヤー駅伝、そして、1月2日、3日の箱根駅伝と続く。駅伝三昧の5日間を送ることができる。

 駅伝の楽しみ方もさまざま。白熱したレース展開はもとより、選手の足元に着目してみるのもお薦めだ。

 近年は各メーカーから駅伝に向けて特別なデザインが施されたシューズが発売されている。NIKEのEKIDEN PACK、adidasのADIZERO EKIDEN COLLECTION、PUMAのEKIDEN GLOW PACKなど名称はそれぞれだが、各メーカーの駅伝に向けた力の入れようが分かる。

 その先駆けとなったのは、NIKEのEKIDEN PACKだろう。

 2011年-12年シーズンに、当時NIKEがサポートしていた早稲田大学、東洋大学、駒澤大学、城西大学、神奈川大学の5大学をモチーフにしたランニングシューズとアパレルが発売された時は、なかなかインパクトが大きかった(調べると、実はその前年からEKIDEN PACKが出ていたようだ)。

 今季も2024-2025年の駅伝シーズンに向けて、NIKEのEKIDEN PACKのコレクションが発売されている。11月6日に行われた発表会には、駒澤大学の桑田駿介選手、中央大学の柴田大地選手、東海大学の兵藤ジュダ選手、東洋大学の石田洸介選手が登壇してトークセッションも行われた。

「シューズのデザインにいろんな思いやインスピレーションが込められているので、毎年楽しみにしています。このシューズを履くと“速く走りたい”と思わせてくれます。今年は炎をイメージしているところで、気持ちを燃やして走っているところを意識しながら、(広告ビジュアルの)撮影に参加させていただきました」

 こう話すのは石田選手。東洋大に入学した2021年シーズンから毎年、EKIDEN PACKを着用してきた。毎年異なる意匠を凝らしたデザインは、選手たちのモチベーションアップにもつながっているようだ。

東洋大学の石田洸介選手
東洋大学の石田洸介選手

 

 石田選手の言葉にもあるように、今季のEKIDEN PACKはファイヤーパターンのグラフィックが印象的だ。これは、駅伝が誕生して間もない頃に夜道を走るランナーのために道を照らしていた松明の炎からインスピレーションを得たデザインだ。

 12月1日の福岡国際マラソンでは、吉田祐也選手(GMOインターネットグループ)が、EKIDEN PACKのナイキ アルファフライ 3でレースに臨み、日本歴代3位の好記録で優勝を果たしている。かなりインパクトがあるデザインなので、足元も主張していた。

 ちなみに、2002年に発売された「エア ストリーク スペクトラム プラス」というシューズもファイヤーパターンが用いられている。このシューズもまた日本の駅伝選手の意見をもとにデザインされており、いわばEKIDEN PACKの先駆けとも言える1足だったのかもしれない。

汎用性の高い1足に仕上がっているズームフライ 6

 今季のEKIDEN PACKのシューズは、4モデルがラインナップされている。

 レーシングモデルは「ナイキ アルファフライ 3」と「ナイキ ヴェイパーフライ 3」の2足がある。

 さらに、新しくなった「ナイキ ライバル フライ 4」と「ナイキ ズームフライ 6」がラインナップされている点も見逃せない。

 ライバル フライ 4は中高生にも手の届きやすい価格設定になっており、部活アスリートにお薦めの1足だ。他のモデルと比較すると控えめながら、ナイキのスウッシュにファイヤーパターンが施されており、モチベーションを高めてくれる。

左からアルファフライ3、ヴェイパーフライ 3、ズームフライ 6、ライバルフライ 4
左からアルファフライ3、ヴェイパーフライ 3、ズームフライ 6、ライバルフライ 4

 個人的に気になっていたのがズームフライ 6だった。

「5」の登場から2年ぶりに発売されたばかりで、前作から大幅にリニューアルされており、周りのランナーの評判もすこぶる良い。

 個人的にも、初代、2代目と履いていたこともあって(初代はシカゴマラソン前日にシカゴのナイキショップで見かけて即買いした)、ズームフライは思い入れのあるシューズだった。

「ナイキ ズーム フライ 6は、ロングランやインターバル走に使う『スーパーシューズ』というよりも、1週間を通して毎日の練習に使えるシューズです。今回新たにデザインされたズーム フライは高機能、高反発で衝撃吸収性にも優れ、かかとからつま先へのスムーズな動きを促してくれます」

 何より、元マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲのこんなコメントが購買意欲を刺激してくる。

 ちなみに、石田選手も、少し速いペースでのジョグや距離走では、ズームフライ 6を着用しているという。

 トップランナーのトレーニングから、一般ランナーのレースまで、幅広く対応してくれる汎用性の高いシューズがズームフライ 6だ。

 実際に、筆者もズームフライ 6に足を入れて走ってみたのだが、真っ先に驚いたのは、その軽量性だ。

 公式サイトによると、1足の重さは27cmで約244g とあり、よりも10%以上軽くなったそうだ。実際に履いてみても、“軽い”という印象が強い。

 もちろんレーシングモデル(アルファフライ3で約199g)と比べれば重量はあるが、とにかくフィット感がいいので、余計に重さが気にならないのかもしれない。

 実際に走ってみるとさらに驚く。

 気づけば、思い切り踵から接地していたのだが、それでも、しっかりと蹴り出すことができて、地面からの反発も得られた。言い換えれば、どこで接地をしてもちゃんと反発を得られるということだ。

 アルファフライやヴェイパーフライだと着地時に自然と重心が前寄りになり、半ば強制的に良いリズムを刻んでくれるような印象がある(効率の良いフォームを身につけるのにいいだろう)。それに対して、ズームフライ 6の接地感は全く異なるものだったのだ。

 実際に体験してみれば、その汎用性の高さに納得するに違いない。クセがない上にクッションにも優れているので、キプチョゲが言うように、まさに毎日履けるシューズだ。

 もちろん我々レベルのランナーであれば、レーシングシューズとしても着用できる。上記のキプチョゲの言葉に1つケチを付けるなら、これこそが『スーパーシューズ』と呼ぶにふさわしいのではないか、と思ったほどだ。

 EKIDEN PACKでレーシングシューズもトレーニングシューズも揃えたいところだが、懐事情からなかなか難しい人も多いだろう。目的がはっきりしている人ならそれに合ったシューズを選ぶのが一番だが、1足だけ選ぶのに迷っているのならズームフライ 6を選ぶのがいいかもしれない。

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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