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【京都市東山区・中京区】昔の人は迷子探しや落とし物さがしをどうしていたの? 初詣神社の謎の石! 

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 今の時代のようにスマホも無ければ、交番も無い時代、迷子探しや落とし物探しはどうしていたのでしょうか? 年始には、初詣の人で溢れる八坂神社に2022年12月6日に所用で訪れた際に、南門にある謎の石がその問いに答えてくれました。

 八坂神社は明治以前は元々、祇園感心院、通称「祇園社」と言われました。7月1日の吉符入りから7月31日の夏越祭まで取り行われる、山鉾巡行で有名な祇園祭はこの八坂神社の祭礼です。2021年に本殿が国宝に指定されたことでも注目を集めています。八坂神社の正門は四条通の突き当りの西楼門と思われがちですが、実はこの朱塗りの南楼門が正門です。

 南楼門の門前にあって、坂本龍馬の行き付けで、暗殺された際に、この店の下駄を履いていたとされ、江戸時代にオランダ通信使カピタン一行が「豆腐の早切り」を見学に来たことでも知られる「中村楼」のちょうど向かい側に「月下氷人石」はありました。

 もともと拝殿の東側の忠盛灯篭の近くにあったことが、幕末刊行の「東山名勝図会」にも描かれていますが、八坂神社の「平成大修営」によって、1996年(平成8年)に現在地に移されました。月下氷人とは中国の故事で、今で言う「仲人(なこうど)」のことです。

 この石の片方に「さがす方」、反対側に「おしゆる方」と彫られています。ここに迷子の名前を書いた紙を貼り、反対側に、知っている人が、ここに張り紙をする、尋ね人探しに使われていたようです。

 実は、同じような石が頭部を欠いていますが、北野天満宮境内茶室松向軒庭内にもあります。表面に「奇縁氷人石」と刻してあります。もう一つは、新京極商店街にある「ろっくんプラザ」の向かいにある「誓願寺」に。門前に「迷子の道しるべ」と書かれた石標が建っています。北と南側に、「たずぬる方」、「おしゆる方」の文字が読み取れました。

 誓願寺さんの職員さんによると、「迷子のみちしるべに願いをすれば、落し物をしたり、迷い子になった時に探し物が見つかるとも言われている」のだとか。最近でも、「スマホ落としました」の付箋が貼ってあったのだそうです。まだ電話も無けりゃ、警察すらない時代、江戸時代の末期から明治時代の中期にかけて、迷子が深刻な社会問題となり各地の社寺や盛り場に建てられたのだとか。京都市にはまだまだ面白い話がありそうです。初詣は京都へお越しくださいね!

八坂神社(外部リンク) 京都市東山区祇園町北側625 075-561-6155

誓願寺 (外部リンク) 京都市中京区新京極通三条下る桜之町453

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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